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インクルーシブデザインの面白い可能性

インクルーシブデザインでつながる未来

大丸福岡天神店でのイベントに、かけはしが連携しています、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社が作ったVUEVOが出展されまして、福岡開催ということもあり、かけはしがブースに立っています。

ここには、様々な特別なニーズを持つ人たちに対して、生活がしやすくなる商品が集まっていまして、その話を聞くと、もう本当に面白いんです!

ということで、今日はそんな話をしてみたいと思います。


まず、ユニバーサルデザインとインクルーシブデザインは違うようです。

ユニバーサルデザインは、
全ての人が使いやすい製品やサービスの設計を目指すもの。
インクルーシ ブデザインは、
特定のニーズを持つ人たちが使いやすい製品やサービスの設計を目指すもの。

と分けられているようです。

ところがですね、このインクルーシブデザインを突き詰めていくと、別の二-ズを持った人たちにも使いやすかったり、特別なニーズを持ってない人にも使いやすかったり、いいな!と思えるものになることもあるんですよね。




静かでやさしい雨音の傘「サイレントアンブレラ」


丸安洋傘株式会社さんが作ったのが、雨音が静かに聞こえるサイレントアンブレラ

見えない人たちが、雨の日に雨の音が大きすぎると、車の音が聞こえにくく怖いのでということで作った傘です。


これ、二重構造になっていて、上にメッシュの生地があるんです。
そこに雨が当たって、さーっと拡がって音が優しくなるんですよね。

これは、実際に体感してみないとわからないと言われていましたが、すごくやさしい、心地よい音のようです。
この傘を作っている方も使っているようで、その方は見える人ですが、非常に音が優しく、一人で優越感に浸りながらさしてますと言われていました。

ここで、僕、ふと思ったんです。

これ、聞こえない人にもいいんじゃない?

正確には、補聴器、人工内耳をつけている人ですね。

補聴器は、全ての音を増幅します。
人工内耳も、拾った音を全て電気の信号に変えます。

つまり、耳の近くで雨の音がしてるとうるさいし、これまた車の音もわかりにくいんじゃないかと思うんですね。

で、聞いてみると、
「はい。聴覚障害の方も買われます」と言っておられました。
あと、感覚過敏、聴覚過敏の方も買われるそうです。

難聴者は、車の音が聞こえなくて怖いという感覚はないかもしれないんですけど、音がよくわからなくて、危ない目に遭う可能性もあるし、何より、うるさいのが煩わしいと思う人もいるような気がしました。

試しにうちの娘に聞いてみましたら、
「雨の音は別にうるさくない」
とのこと(笑)

まあ、これも、今までこれが普通だったのでわからないだけで、試してみると、その快適さがわかるんじゃないかなと思いました。

ただ、若干傘は重たいので、小学生にはちょっときついかもねとのことでした。
中学生くらいになったらいいかもしれませんね。

この傘、10年以上試行錯誤されているようです。
で、この傘、確かにお値段は高めなんですけど、それでも採算は取れないとおっしゃっていました。

それでも、作ってくれてるんですよね。

で、福祉機器にしてもらえないかとやはり要望があるようです。
それで、申請をしようとされたんですけど、まあ、これが恐ろしく手間のかかるもので、とてもやりきれないということで断念されたようです。

このあたり、行政のシステムは、不正を防ぐという観点で作られてるんですよね。
あと、助成金がつくようになるので、なるべく出したくないから基準を高めにするというのも多分あるでしょう。

これって、本来の目的から外れてますよね?

「これを使って助かる人がいるなら」という視点でシステムを作る必要があると思うんですよね。
このあたりは、行政に見直してほしいところだなと思います。

このサイレントアンブレラ、ネット販売のみのようです。
こちらから買えますので、ご興味ある方、ぜひ買ってみられてください!


視覚障がい者(弱視)・高齢者のためのインクルーシブデザインフォント


フォントワークス株式会社さんが作っているのは、特定のニーズの方に特化した、見えやすい文字(フォント)

もともとは、ユニバーサルデザインフォントを作っていたようです。
UDフォント。
僕も、BIZ UDPゴシックという文字を好きで使ってるんですけど、これ、UDフォントとは知らずに、わかりやすい字を探して、パソコンに入ってる中でいちばん良かったものを使ってるんですけど、なるほど。確かにわかりやすかったんだなと思いました。

で、ユニバーサルもいいけど、

全ての人に有効なデザインを一つ行うよりも、特定のグループ毎に変化を加えてそれぞれのデザインを行う方が、結果的に、全ての人に最適なデザインを届けられるのではないのかということを考えるようになりました。

とのことで、視覚障がい者(弱視)の方、高齢者に特化して、見えやすい文字を研究しているようで、それがインクルーシブデザインフォントというようですね。

これもそうですけど、特定のニーズの人に特化したものを作ると、別の人もわかりやすいということはよく起こるんですね。

もちろん、文字で言うと、高齢者にはわかりやすかったけど、視覚障害、弱視の人にはわかりにくかったものもあるようで、そこは、特定のニーズに合わせて使っていけばいいわけですね。

さあ、じゃあ、どれだけ違いがあるのか?
まずは見てください↓

おお~!
くっきり違いが判りますね!
これ、文字が太いからというだけではないんですよね。

横線と縦線の太さを変えたり、点を斜めに打つか横に打つかとか、間隔を狭めるか拡げるかとか、本当に細かい調整をしているようです。

で、本当に小さな違いらしいんですね。
でも、そこが、全体として見えやすくなる!

面白いですよね~!

これは、ぜひ、音声認識アプリには取り入れてほしいなあと思いましたね。
字幕が、このインクルーシブデザインフォントになれば、かなり見えやすいですよね。

この場合、字幕を見る人を対象にするので、視覚障害ではなく、高齢者に特化したインクルーシブデザインフォントであれば、多くの人が見えやすいんじゃないかと思いました。

あとは、子ども向けなら、子どもに特化したものもあるかもしれませんし、感覚過敏の人は、明朝体が非常に見にくいようですので、そういう人たちや、特別なニーズを持った人たちに特化したフォントも可能性は感じますね。

かけはしでは講座を多くやります。
子ども向けや高齢者向けの講座もあり、このあたりに読みやすい文字にすることで、講座の精度も上げられますね。

あとは、やっぱり字幕にも反映したいですね~
VUEVOとのコラボとかできたら、これはまたいいな~なんてことを考えてしまいました!


自動でピントを調整するオートフォーカスのメガネ(アイウェア)


自動でピントを調整してくれるオートフォーカスのメガネ、いえ、アイウェアを作っているのは、Vixion株式会社さん。
あのコンタクトのHOYAからできた会社さんのようです!


このVixion01というやつ、これ、ぶったまげますよ!!

このメガネをかけて、右のメガネの柄のあたりにダイヤルがあるんですけど、それを回していくと、焦点が合うんですよね。

で、普通は、遠くがよく見えるメガネで近くを見ると、ちょっと見にくいですよね。
逆もまた同じです。
もちろん、そのちょうどいいところを調整してメガネを作ったりしますし、近視で老眼になったら、遠近両用メガネとか、2つ持つとかになってしまいます。

ところが、こやつはですね、最初にピントを合わせたら、その後は、距離が変わっても自動でピントを合わしてくれるんですよ!

遠くがよく見える状態で、近くの本を間近で見ても、目が圧迫感を持ったりめまいというか、そういうことが全くなしに、本の紙質(ザラザラというかボコボコしたもの)までくっきり見えるんですよ!

僕、コンタクトなんで、今度コンタクト外してやらせてもらおうかと思ってるんですけど、これはぶったまげます!

もう、眼医者の処方箋とか要らないですよ(笑)

これは、目の代わりに機械がピント調節をしてくれるわけですね。
すげーよこれは!

目が自分でピントを合わせるから眼精疲労と言うか、目が疲れたりするみたいなんですね。
これだと、目が疲れにくくなるようです。

まあ、今のところ、見える範囲が少し狭いので、ここは今から拡げていきたいと言われていましたし、やはり、お値段はちょっと高めですね。
これも拡がれば段々下がってはいくでしょう。

そして、こちら、最初はクラウドファンディングで作ったらしいのですが、何と世界最高額を集めたと言われてまして・・・・

何と、4億2千万円!!
目標金額が500万ですよ。
こっちもぶったまげましたね!!


お金が使いやすいコインケース”ニコニコイン”


知的障害をもつ人や小さな子ども、視覚障害、片麻痺の人たちに使いやすいコインケースを作っているのは株式会社夢育てさん

これを作った方、子どもさんに障害がある方で、小銭入れに入った小銭では、なかなか買い物でお金を払えない。

でも、100円 50円 10円 5円 1円と、分けて、これはいくらか?と考えるとできる。

だったら、そういうコインケースを作ればいいんじゃないかと思い作ったとのこと。

作って、誰か使って感想を聞かせてもらえませんか?などと呼びかけ、呼びかけに応じて使ってくれた方からのフィードバックをもらってまた作り直してとしていったようです。

最初は、デカい?格好悪い?などと言われたようですが(笑)、改善を重ねたようです。
残念ながら、この話の途中でお客さんが来られてそのまま話ができずじまいだったんですけど、先に話を聞いていた方から少し教えてもらったのですが、このコインケースを、白杖のように、これを持っている人を見たら、
「あ、数えづらい人なんだな」と思って見守ってもらえるようにしていきたいと言われていたとのこと。

これ、いいですね・・・

やはり、買い物をしているとき、なかなか料金を出せなくて、お店や後ろの人にイライラされたり、自分もプレッシャーになってパニックになっちゃったりとかもあるようで、これだと早く正確に出すことができるので、買い物を自分で楽しむことができる。

そして、見えない人にもいいですよね!
それから、なかなか思うように手を動かせないケースでも、お金を取りだしやすい。

これもまた、特定のニーズに特化した商品が、実は他のニーズを持つ人にも使いやすいという。
ここが、本当にインクルーシブなデザインの面白さだなあとつくづく思います!


このコインケースをとりだしたら、みんながわかってくれる。見守ってくれる

そういう社会を、本当に目指したいですよね。

僕も社長と話をさせてもらったんですけど、僕も、娘の難聴がきっかけで今の仕事をしているわけですけど、「わかりますよ」と共感してもらい、僕も社長の気持ちが本当によくわかるし、ニーズは違っても志を同じくする方とお話しできて本当に励みになりました。

僕も、絶対にこの活動を維持していけるよう意地でも頑張りたいと、また強く思いました!


複数人の会話を視覚化するVUEVO


さあ、もちろん、これもまたお話しさせてください(笑)!

ピクシーダストテクノロジーズ株式会社さんが作ったのが、複数人の会話を視覚化するVUEVOです!

VUEVOチームの方が、たまたま福岡に来る予定があり、もしご都合よければということで声をかけてくださって会ったのが始まりでしたが、そこで現物を見た時、もう、感動しまくりました!!

ぜひ、これを、企業や学校に常備したいなと心から思いました。
今、そのお手伝いができていることが、本当に嬉しいです!

複数人で打合せを行う時、会話が聞き取れない、誰が話しているかわからない。このような状況だと、チームのパフォーマンスが十分に発揮できません。そんな課題を解決するために作られたのがVUEVOです!

これも、もともとは難聴者のために作ったものです。

ですが、音声を文字化するので、当然、その文字をダウンロードできるわけですね。
そして、要約させることもできる。

つまり、議事録機能もつけられるわけです。

実際にこのイベントでは、「会議の議事録にすごくいいですよね!!」という声を本当に多くの方からいただきました!

議事録って、大体、新人が仰せつかったりします。
でも、新人だと専門用語もよくわからないわけです。
しかも、議事録を書いてたら、自分の意見も言えない。
考える暇もない。

また、まとめるのに時間もかかり、本来の仕事の時間が取られてしまう。

そんな時にVUEVOを使えば、議事録は自動で、しかもwordで体裁が整った状態でダウンロードできるんです!
要約間違いも少しありますが、これは手作業で短時間で修正可能。
会議時に、自分で考えて、自分の意見を言うこともできるようになります!

まさに、難聴特化で考えたものが、聞こえる人にも便利なものとして使えるようになっているわけですよね。

本当にインクルーシブは面白い!

ちょっとお値段は導入費用と、毎月の定額料金とかかりますが、話を聞いてくれた視覚障害を持つ方が、
「企業なら全然払える額ですよね」と言ってくれました(笑)

その議事録まとめに要する時間、その人がアイディアを考えられない損失、議事録まとめの時にその人がもっと生産性の高いことができるプラスアルファを考えれば、毎月3万円は安いものかもしれませんね。

そして!
これが難聴者がいる会社でしたら、
難聴者のパフォーマンスを大きく上げるというプラスアルファは、かなりのリターンになります!

聞こえないからあまりできることは少ないと思っている方が多いかもしれませんが、ちょっと待ってください!
聞こえないがゆえに突出した力を持っている人は多くいます!

観察力、気づかう力、感性の違い、表現力、純粋さ。
これって、ものすごく事業発展を大きく後押しする力ですが、これらを持ってる人、多いんですよ!

これを発揮するための月額3万円なら、初期費用もろとも一瞬にして回収してしまうでしょう。

あ、そして、ちょっと待ってください。

もちろん、VUEVOがあれば、全部解決!
ではないんですよ(笑)

聞こえない人とのコミュニケーションにはコツが要ります
そのコツを見つけるためのサポートも必要です。
そのコツは、かけはしが提供できます!

ツールは便利なものですが、ツールがあるだけで全解決とはいきません
VUEVOも当然ながら誤字は発生します。

そして、難聴者のコミュニケーションの取り方は、一人一人違います。
ここを丁寧に見ていき、円滑に回るようにする中で、ツールが爆発的な威力を発揮します。

かけはしのコミュニケーションコンサルと、
VUEVOがあれば、これは、最強のコンボだなと思っています。

ぜひ、4月からの合理的配慮の義務化に向けて、
かけはしの難聴コミュニケーションコンサル×VUEVOをお試しください!

最後は宣伝になってしまいましたが(笑)
でも、本当に、会社にとっても、難聴者本人にとっても双方にリターンが多いことですので、ぜひ、まずはお気軽にお問合せください!

言葉のかけはしの記事、活動に共感いただきましたら、ぜひ、サポートをお願いします! いただいたサポートは、難聴の啓発活動に使わせていただきます。 難聴の子どもたち、難聴者と企業双方の発展、そして聞こえの共生社会の実現のため、どうぞよろしくお願いします!