005「最果ての季節」わたしの容姿は、あまりにも四時に酷似しすぎていた。
お母さん。
都子さんを、そう呼んだことは一度もない。旅館の仲居さんたちも、女将さんか都子さんと呼んでいたから、それがあたりまえなのだと別段気にもとめなかった。
でも本当はそこに、都子さんの女としてのせめてもの意地があったのかもしれない。四時の子であるわたしに、彼女は自分をお母さんとは呼ばせたくないなかったのかもしれない。
いくら太陽の下にいても、赤くなるだけで焼けることのない皮膚。骨ばっていて、青く血管の浮きでる腕や腿。ふと気が付くと、都子さんはいつもわたしを見つめて