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29.09 微分の初歩(極大極小および最大最小)
増減表の利用その1。新しい用語は極大と極小です。前回は増減表が書けるようになるのが目標だったので余分なことは触れませんでしたが、既に極大・極小は現れていました。
※ 微分計算および増減表が書けるという前提で話を進めます。知識が怪しそうであれば、過去記事で確認してください。
極大・極小
関数の増減表を書いたときに、単調増加から単調減少に変わる瞬間や、単調減少から単調増加へ変わる瞬間がありました。そのような瞬間をそれぞれ極大、極小といい、その瞬間の関数の値を極大値、極小値といいます。さらに極大値と極小値をまとめて極値(キョクチ)といいます。感覚的には山の部分が極大で、谷の部分が極小です(※1)。
例1(極大・極小)
関数 $${y=x^3-3x^2-9x \:\: (x\in \mathbb{R})}$$の極値を求めてみます。
そのために、まず、微分して増減表を書きます。前回の復習にもなるので、次を見ないようにして書いてみてください。
$${y'=3x^2-6x-9=3(x+1)(x-3)}$$より、増減表は次の通りです:
![](https://assets.st-note.com/img/1703923996467-21xsssdU1V.jpg)
増減表の三段目を見ると、値5の前後で増加から減少に変わっているので
$${x=-1}$$で極大となり、極大値5,
値$${-27}$$の前後で減少から増加に変わっているので
$${x=3}$$で極小となり、極小値$${-27}$$
とわかります。▮
※ 極値を求めるだけなら、単に、次のように答えても構いません:
極大値5 ($${x=-1}$$のとき), 極小値$${-27}$$ ($${x=3}$$のとき).
例2(極値を持たない)
関数 $${y=x^3 \:\: (x\in \mathbb{R})}$$の増減表を書くと
![](https://assets.st-note.com/img/1703924938508-mang8TaZqg.jpg?width=800)
三段目の0の前後を見てみると、どちらも増加しているので極大でも極小でもありません。つまり、極値を取りません。▮
例題1(最大値と最小値)
区間$${-1\leqq x \leqq 0}$$において、関数 $${y=4x^3-3x^2-6x+2}$$の最大値および最小値を求めよ。
解答解説 変数$${x}$$に制限がついていますが、まずは増減表を完成させます。その後に制限を踏まえて、最大値と最小値を考えます。
微分して増減表を書くと
$${y'=6(x-1)(2x+1),}$$
![](https://assets.st-note.com/img/1703926574113-5pdAV3eDzb.jpg?width=800)
これを踏まえて区間$${-1\leqq x \leqq 0}$$で書き直すと
![](https://assets.st-note.com/img/1703926702403-FrEPO9ZNuL.jpg)
となります。したがって
最大値 $${\dfrac{\:15\:}{4}}$$ ($${x=-\dfrac{\:1\:}{2}}$$のとき), 最小値 1 ($${x=-1}$$のとき). ▮
注:①上の例題では極大値が最大値となりました。
②慣れると増減表を書くときに、制限された区間を考慮して書けるようになります。
③最大値・最小値のときだけでなく極値を答えるときにも、いつその値を取るかを答えます。
④区間に等号が付いていない場合は、そのときの値は除かれます。
例題2(注意する問題)
区間$${-2< x \leqq 3}$$において、関数 $${y=-x^3+3x^2}$$の最大値および最小値を求めよ。
解答解説 $${y'=-3x(x-2)}$$より、区間を踏まえた増減表は
![](https://assets.st-note.com/img/1703929311518-7ruLMFZ6G6.jpg?width=800)
となります。例題なのでかなり特殊な形を選びました。
注意することは、最大値最小値を考えるときには$${x=-2}$$のときの値$${20}$$も参考にしますが、区間に含まれていないのでこの値を最大値とすることは出来ません。20の方が4より大きいのですが、範囲外なので 20 は最大値ではありません。もちろん4は最大値ではありません。
また、最小値は0ですが、$${x=0}$$および$${x=3}$$の両方で取るので、この両方を解答するときに答えます。
増減表から
最大値はない, 最小値 $${0}$$ ($${x=0, \: 3}$$のとき). ▮
増減表が書ければ、今回の内容はやさしかったと思います。実際にそう感じたのであれば、力がついています。次回は増減表を不等式の証明に利用します。▢
※1 極大・極小は英語の local maximum, local minimum の翻訳です。
『ジーニアス英和辞典』によると、local は「ある特定の地域に限られた、考え方などが狭い、局所的など」となっています。なので極大・極小は極めて大きいとか、極めて小さいという意味でなく、狭い範囲での最大・最小ということです。だから漢字としては「局」が相応しく「局大、局小」の方が分かりやすかったですね。
たいてい数学では local を局所的と訳します。でも何世代にも亘って広まっているのでもう修正さることはないと思います。▮
※ 極大・極小の英語がそれぞれ maximal, minimal のこともあります。
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中学数学と高校数学の違いが明確になるのはここからです。これまで学んだ多くの知識を踏まえて話が展開するので理解するのは容易くありません。でも…
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