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2-2.いまさらきけない『文字式の計算①』

文字式というのは、前回紹介した 2x+3y のような式のことです。
文字式の計算というのは、場合によっては計算できることがあります。
例えば、次のような場合、あなたならどのように答えますか。

問題 どの種類の中華まんも1個 a 円で売られています。このとき、肉まん3個、あんまん2個、そしてピザまん4個を買ったら、代金は全部でいくらになりますか。

方法1)肉まんの代金はa×3円、あんまんの代金はa×2円、ピザまんの代金はa×4円なので、これらを足し合わせて、(a×3+a×2+a×4) 円となります。

これで間違いないのですが、前回話したように、掛け算記号は今後省略して表現するので、(3a+2a+4a) 円となります。

方法2)どの中華まんも1個の値段が同じで、全部で3+2+4=9 の 9個買うので、a×9=9a 円となります。

気づいた人もいると思いますが、3a+2a+4aは簡単にできて、9aとなります。これが今回の主題です。この仕組みには、分配法則や分配律(※1)などと呼ばれる ma+mb=m(a+b) を利用します。これは、小学3年生以来、ずっと使われています。ただ、気づいていないだけです。24×7のような計算に使われています。この話をする前に、分配律が成り立つ理由を考えておきます。

下図の長方形の面積を考えると

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長方形ABEFの面積maと長方形FECDの面積mbの和は長方形ABCDの面積m(a+b)に等しいことが判ります:ma+mb=m(a+b).


文字に慣れていなければ、縦5㎝、横4㎝、3㎝と考えれば、それぞれの長方形の面積が5×4+5×3で、全体の長方形の面積が5×(4+3) ということが判ると思います。

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このように、分配律 ma+mb=m(a+b) は自然な等式(等号で結ばれた式)なのです。

※ 動画で説明していて気づいたのですが、いまは

   ma+mb=m(a+b)   の形よりも   am+bm=(a+b)m

の方が使いやすいようです。

前回の 2-1.いまさらきけない『文字式の扱い方』に書いたのですが、中学・高校数学はほとんとすべて掛け算の前後が交換可能(可換 カカン)の場合しか出てこないので、ma を am と書き換えられるのです。m(a+b) に関しても同様で (a+b)m と書き換えられます。(※2)

この分配律を使うと、3a+2a+4a=(3+2)a+4a=5a+4a=(5+4)a=9a のように計算ができます。ふつうは一気に、3a+2a+4a=(3+2+4)a=9a とします。

練習しておきましょう。次の式を簡単にしてください。
(問題の意味は、「計算し簡単な式にすること」です。こう表現します)
①3x+4x  ②7x-5x+2x  ③3x-2x  ④5x+2x-x




答え:① 7x ② 4x ③ x (1x は間違いではないのですが、x と書けるようにしましょう)④ 6x
注意:1xはxと表記し、xは1xと考えます。これは慣れるしかありません。常に、1xと表記すればいいのではないかと思いますが、1xは煩わしいものです。なぜなら、a円とかx個という表現ができなくなります。1a,1xと書くのは煩(わずら)わしいと感じるのではないでしょうか。

練習問題 次の式を簡単にしてください。
① 3a-2a  ② 2x-x  ③ ax+ax


答え:① a  ② x  ③ 2ax
(※ 3つとも出来たら、自信を持ってください。こういうのをテストに出すと、よく間違います)▢


※1 英語ではdistributive lawで、lawを法則、律、則と訳されています。この言葉は、中学高校ではあまり使われないので、忘れてしまうと思います。代数学を学ぶと自然と覚えられます。

※2 m(a+b) → m・(a+b) → (a+b)・m → (a+b)m ということです。

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