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14.2 三角比(三角比の定義とその意味①)

直角三角形を考えると、2つの三角形が相似か否かは1鋭角が等しいか否かで判断できますね。その1つの鋭角によって三角形の3辺の比も同時に1つに決まるのだから、1度から89度までの直角三角形の辺の比を調べておけば実用上はかなり便利です。実際、教科書の巻末にはその表が掲載されていますし、ネット検索でも「三角比表」で見つけることができました。いまの時代はアプリでもっと詳しいのが手に入ります。

ここまでは前回の話ですが本質的なことは話し終わりました。
直角三角形を考えれば、1鋭角と3辺の比は1対1(※1) に決まるのだから次のように定義することが出来ます。
直角三角形の3辺の長さを x, y, r,1鋭角をθ[theta (※2)]とし

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と定義します。※ sinθ, cosθ, tanθの読み方などは(※3)をご覧ください。

ここで問題です。sinθ, cosθ の意味を答えてください。

これが答えられるのなら「ある直角三角形でtanθ=2のとき、sinθの値を求めよ」もかんたんに解けます。

答え「sinθはrに対するyの割合」はオーソドックスで見事な解答です。本当に定義を理解している人には上の問題もかんたんに解けるし、sinθ, cosθの関係式 (sinθ)^2+(cosθ)^2=1 も自明な式でしかないと思います。

(ここからが本題です)
ではそうなるための準備をします。と言っても新しい用語を1つ加えるだけです。直角三角形の斜辺は直角に向かい合う辺のことでした。この向かい合う辺のことを対辺といいましたね。三角比の主役は1鋭角と3辺だったので直角三角形を考えているときは主役の1鋭角θの対辺のことを単に対辺と呼ぶことにします。残り1辺は斜辺とともに主役の1鋭角を挟んで隣に位置しているので隣辺(リンペン)と呼びます。

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ではsinθ, cosθの定義を確認します。y/r=y÷r, x/r=x÷r なのでどちらも斜辺rで割った値、すなわち斜辺に対する割合です。sinθは斜辺に対する対辺の割合で、 cosθは斜辺に対する隣辺の割合です。つまり、斜辺を1としたときの対辺がsinθで隣辺がcosθということです(※4)。
理解を深めるために別の見方もしておきましょう。角θの直角三角形の3辺 x, y, r を斜辺のrで割ると x/r, y/r, 1 となりますが、このときの対辺をsinθ、隣辺をcosθとしたのが定義式です。

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定義を理解するとはこういうことです。割合、比、相似を理解している人にとってはこのように読み取れています。
次に、直ぐ上の真ん中の図にtanの定義とピタゴラス定理を適用すると関係式①と②が得られます。下がそれです。

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初学者にとっては三角比の定義というのは分かり難いものです。ルート記号に戸惑ったのと同じだと思うのでここで一旦区切ります。▢

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