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1-5.いまさらきけない整数(プラス・マイナス)の引き算

前回の形、5+(-2) で何かに気づいた人がいるかも知れません。「忘れていたのに」もしくは「習っていないのに」気づいたあなたは、私よりも遥かに勘がいいです。

それは、こういうことです:
5+(-2) の計算は、結果的に 5-2 の計算をしたことになっています。

そこで、次のような約束をします
5+(-2) の足し算「+」を省略して、単に、5-2と書いてもよい。

つまり、(-7)+(-4)であれば、(-7)-4と書いてもよいし、逆に、
5-8であれば、5+(-8)と書いてもよいということです。もしも
(-5)-8であれば、(-5)+(-8)と書いてもいいのです。


さて問題です:引き算7-(-4) を足し算で表してください。


答えは、7+4になりますが、理由が言えますか。
「-(-4)=+(+4) だから」だと、理由が言えているかどうが怪しく思います。「マイナス・マイナスはプラスにできる」という計算規則を答えているように感じるからです。

では、説明してみます。使う知識は、第1回目の整数の話です:

(参考)いまさらきけない負の整数(マイナスの整数)の話
https://note.com/koto_hajime_/n/nd8bfadcfc2bc

説明:7-(-4) だと考えにくいので、7を▲で表し、-4を■で表すことにします。すると、7-(-4) は ▲-■と書けます。これを約束に従って書き直すと、▲+(-■) になります。▲、■を元に戻すと、7+(-(-4)) になります。ここで、-(-4) がどのような数かと考えてみると、括弧の外にある記号「-」は「括弧の中身」の逆を意味しています。つまり、(-4) の逆は何かと考えると、4ですね。だから、-(-4) を4に書き換えて、7+4になります。流れを見直すと:
   7-(-4) ⇒ ▲-■ ⇒ ▲+(-■) ⇒7+(-(-4)) ⇒7+4 
もちろん、この流れを逆に見ることもできます:
   7+4⇒7+(-(-4)) ⇒ ▲+(-■) ⇒ ▲-■ ⇒7-(-4)

この結果から、「マイナス・マイナスはプラスにできる」を計算規則にしてよいことが判ります。

今回の話は難しかったと思います。それは、こういう議論に慣れていないからです。分からなくても落ち込む必要などありません。そうでなくても落ち込む落ち込む必要などありません。最初はみなそうなのです。こういう議論が「面白いと感じる人」や「スラスラできるようになりたい人」が、スラスラできるようになります。そういう中から、数学者が誕生するのです。
最初からスラスラでき、面白いと感じるなら、数学者を目指す道もあると思います。超一流の数学者になって、新たな発見をしてください。

【高校卒業後、数学科に進学して苦しむ学生たち】
整数の世界においては、「引き算」を「負の整数を加えること」で定義したのです。こういう議論は、19世紀以降の「集合論」や「抽象代数学」によって整備された結果です。
整備されたのに、複雑になったように感じますね。「線形空間」か「群」を学ぶと、こういう議論が出てきます。高校まで数学が得意だったのに、この辺りから、だんだんと数学が苦手になります。逆に、こういう数学を学んでから、数学が好きになる人もいます。
大学の先生たちは、「数学科の学生なのに数学ができない」と嘆きますし、
数学科の学生たちは、「高校までは数学が得意だったのに」と嘆きます。▢


解説動画
https://youtu.be/wfWMVg5HG4c

整数の引き算を含む練習問題
https://note.com/koto_hajime_/n/n1f374dc7116b

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