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8-4.いまさらきけない連立方程式(代入法②)

前回の解き方が基本です。今回も代入法を扱いますが、少し計算が増えるだけです。前回は、初回だったので括弧については言及しませんでしたが、解答例はきちんと使っています。それに、これまでも繰り返し括弧の使い方については説明しているので、特に説明する必要がないのかもしれません。ただ、この記事から読み始める人もいると思うので、きちんと説明します。括弧の使い方って難しいですよね。私は独学でしたが、いつどこで学ぶのでしょうね。教科書に書いてあったのでしょうか。

例1.連立方程式 y=-2, 4x+3y=10 を解いてみます。

目標は覚えていますか。与えられた方程式の共通な解(xとyの値)を求めることでしたね。ということは、yの値は判明しているので、xの値を求めることが目標です。

解答例 y=-2 ・・・①, 4x+3y=10 ・・・②とする.
①を②に代入すると,
             4x+3・(-2)=10,
                x=4.
よって,
              (x, y)=(4, -2).・・・③
このとき,①は成り立つ.次に,これらを②の左辺に代入すると
           ②の左辺=4・4+3・(-2)=10
となり,②も成り立つ.したがって,③は連立方程式の解である.■

:等式 4x+3・(-2)=10 において、-2 に括弧がついていますが理由はわかりますか。この場合は区切りの意味で使っていますが、一つの固まりの意味でもあります。yの代わりに -2 を当てはめたと主張しているのです。
「代入すると」には、「代入し計算すると・代入し整理すると」という意味も込められています。慣用表現だと思います。

例2.連立方程式 y=x-2, 5x+3y=10 を解いてみます。
解答例 y=x-2 ・・・①, 5x+3y=10 ・・・②とする.
①を②に代入すると,
             5x+3(x-2)=10,
                 x=2.
これを①に代入すると
              y=2-2=0.
よって,
              (x, y)=(2, 0).・・・③
このとき,①の左辺=0,①の右辺=2-2=0 となるので,①は成り立つ.
次に,これらを②の左辺に代入すると
           ②の左辺=5・2+3・0=10
となるので,②も成り立つ.したがって,③は連立方程式の解である.■

:等式 5x+3(x-2)=10 において、x-2 に括弧がついていますが理由はわかりますか。yの代わりに x-2 という一つの固まりを入れたことを主張しているのです。括弧がないと、おかしなことになります。実際、5x+3x-2=10 と書いてみると、xだけを3倍していることになっています。yの代わりに x-2 を入れたのに、 x-2 を3倍していませんね。だから、一つの固まりの意味の括弧が必要なのです。

数学の学び方:5x+3(x-2)=10 の後に x=2 と書きましたが確認しましたか。このように省略して書くことがこれから多くなりますが、こういうときは、そうでなくても自分で計算して確かめてください。
十分注意して書いていますが、間違えることもあります。数学の専門書に間違いが多いことは、数学をしている人たちはよく知っています。教科書や参考書のように、多くの人の目で確認できないからです。ある数学者に言わせると、間違いは力を着ける糧といいます。もしも読んでいて納得できないのなら、どこかに問題があるのです。表記が間違っているか、それとも知識・理解が足りないかです。
間違いが多いのは困りますが、数学は誰々がいったから、有名な数学者が言ったからそれを信じるのではなく、自分自身で考え判断するのです。すべてのことを確認するのは無駄だし不可能だと思いますが、ある程度の前提を除いて、一つひとつ自分自身で確認するのです。アイコンにしている伊原康隆著『志学数学』などは、一般の人が読んでもおもしろいと思います。

例3.連立方程式 y=5-x, 2x-y=10 を解いてみます。
(例2が理解できたなら、自分で解答例を見ないようにしてやってみるのもありです。それで正答できたなら、代入法は理解できたと思います)

解答例 y=5-x ・・・①, 2x-y+20=0 ・・・②とする.
①を②に代入すると,
             2x-(5-x)+20=0,
                 x=-5.
これを①に代入すると
              y=5-(-5)=10.
よって,
              (x, y)=(-5, 10).・・・③
このとき,①の左辺=10,①の右辺=5-(-5)=10 となるので,①は成り立つ.
次に,これらを②の左辺に代入すると
           ②の左辺=2・(-5)-10+20=0
となるので,②も成り立つ.したがって,③は連立方程式の解である.■

自分でやってみた人は、式 2x-(5-x)+20=0 のように括弧が付けられましたか。ここまで書けて計算を間違えてしまった人は、シリーズ2「文字式」が怪しいかもしれません。確認しておいてください。

練習 次の連立方程式を解いてください。
(1) y=-x+3, x-2y=0         (2) -5x+3y=-4, x=y+2




答え (1) (x, y)=(2, 1) (2) (x, y)=(-1, -3)
解説(1) 代入した式は、x-2(-x+3)=0.(2) 代入した式は、-5(y+2)+3y=-4.■

ちょっとした違いだけで解けなくなってしまうことがありますが、その場合は理解していない可能性が高いです。(2) は第二式を第一式に代入するものにし、さらに「y=」だったものを「x=」に変えてみました。文字や表現に惑わされないかを確認するための問題です。理解できているなら、何ら問題なく解けると思います。慌てず、自分のペースで理解してくださいね。
理解しているかを確認する一つの方法として、自分自身に説明しながら解いてみるというのがあります。その際は、答えがきちんと判っている例の問題がいいと思います。▢


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