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8-1.いまさらきけない連立方程式(連立方程式を扱う前に…)

これまでの方程式は未知数が1個だけでした。このシリーズ8で扱う方程式は未知数が2個以上となります。例えば、x+y-3=0です。ただし、未知数x、yは実数の範囲で考えることにします。
:特に断らない限り、未知数は実数の範囲で考えることにします。

ところで、どういうものを方程式と呼ぶか覚えていますか。「数学をする」というのはこういうところから始まるのです。これまで扱ってきた1次方程式や2次方程式を答えても方程式を答えたことにはなりません。

等式① 3x-12=3(x-4) と等式② 3x-12=x+2 の違いはわかりますか。等式①は右辺を左辺に移項して整理すると 0=0 となります(もしくは、右辺の括弧を外すと左辺と一致します)が、等式②は2x-14=0 となります。別な言い方をすると、①はどんな値をxに当てはめても等号が成り立ちますが、②はxの値が7でのみ等号が成り立ちます。①を恒等式といい、②は(1次)方程式といいました。このことは、シリーズ3の方程式で話をしています。

では先に上げた等式x+y-3=0は、本当に方程式なのでしょうか。
xに1、yに1を当てはめてみると、左辺=1+1-3=-1 となり等号は成り立ちません。これで、恒等式でないことは判りました。xが1でyが2なら等号が成り立ちますね。他にxが2でyが1のときも成り立ちます。

ここで数学用語を導入します。これまで、「当てはめる」という表現を用いてきましたが、今後は代入するという言葉を使うことにします。例えば、「xに1を当てはめる」は「xに1を代入する」といいます。慣用的に、「x=1を代入する」と表現します。代入は読んで字の如く、xの代わりに1を入れるという意味です。
さらに、方程式x+y-3=0をみたす値の組(1, 2)を方程式の解(カイ)といいます。組には順番も要請することにするので、(1, 2) と書いたら、x=1でy=2を意味します。例えば、(x, y)=(2, 1)も方程式x+y-3=0の解です。

問題 方程式x+y-3=0の解を、(x, y)=(1, 2), (2, 1) の他に3組挙げてみてください。ない場合はないと答えてください。



答え (x, y)=(0, 3), (3, 0), (4, -1), (1/2, 5/2), (0.5, 2.5) など、無数にあります。

負の数や分数、小数に気づけるかを確認したかったのです。それに気づければ、解が無数にあることに気づいたと思います。ここが大切なのです。
解として、(√2, 3-√2) を答えた人がいるかもしれませんね。このような無理数を答えたのなら、これまでのシリーズを深く理解していると思います。
※ ルート記号の屋根がないのはご勘弁ください。

少し難しいと思いますが、こういうことに気づいた人もいると思います。
xの値を決めればyの値が決まる(yの値を決めればxの値が決まる)ということです。
つまり、xを a とすれば、yは 3-a に決まります。したがって、方程式 x+y-3=0の解は、(x, y)=(a, 3-a)(ただし、a は任意の実数)と書けます。(※1)

最後に、もう一度いいます。方程式x+y-3=0の解は無数にあるのです。これまで扱ってきた方程式とは様相が違いますね。▢

※1 「任意」は「ニンイ」と読みます。意味は「好き勝手に」です。
したがって、「aは任意の実数」とは、aは好き勝手な実数を考えていいです(意訳)と読み取ります。この任意という表現は、数学では頻繁に使われるので、そのうち慣れると思います。

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