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30.05 積分の初歩(積分記号について)

面積の話をする前に積分記号について話します。手元に見当たらないのですが、高校生のときブルーバックスの柴田敏男 著『微積分に強くなる』を読んで積分を理解しました。最終章にはイプシロンデルタが書かれています。


積分記号$${\int ▢dx}$$の$${\int}$$にも$${dx}$$にもそれなりの意味があります。この記号は1回目に出てきたライプニッツ(G.W.Leibniz)によるものです。微分の初歩では微分記号に$${f'}$$を用いましたが、$${\frac{dy}{dx}}$$という記号もよく使われます。前者はラグランジュの記号で、後者はライプニッツの記号です。記号$${\frac{dy}{dx}}$$の1つの利点は何を何で微分しているかが分かるところです。この場合は$${y}$$を$${x}$$で微分したことを意味します。


積分記号について

              $${\displaystyle \int_a^b f(x)dx}$$

この記号の意味をかんたんにいうと

$${a}$$から$${b}$$までの範囲を細かく分割し、分割された細長~い長方形の面積をすべて足し合わせる

ということになります。説明を加えると

・記号$${\int}$$(インテグラル) はドイツの飾り文字の一つでSを上下に伸ばした形です。Sはドイツ語の Summa(ズンマ) の頭文字で総和という意味です(英語ならsum) 。これが「すべて足す」を表します。

・下端$${a}$$と上端$${b}$$が積分区間で、細かく分割する範囲を表します。

・$${f(x)}$$は積分区間内の$${x}$$に対する値で、$${dx}$$は細かく分割された幅を意味しています。この2つを合わせた$${f(x)dx}$$は$${f(x)\cdot dx}$$という気持ちがあり、これが細長~い長方形の面積を意味しています。


f(x)dx の気持ち

分割は横軸に対して垂直に分割し、分割の幅は均一でなくても構いません。
なお、分割が均一の場合は高校数学Ⅲで区分求積法として学びますが、大学以降の数学で積分の定義を理解すれば分かります。

具体的にいくつかに分割したものを考えてみましょう。

5つに分割し、便宜上、$${x}$$座標を左から$${x_0, x_1, x_2, … , x_5}$$と名付けました。分割された各区間の幅は左から順に

         $${x_1-x_0, \: x_2-x_1, \: \cdots, \: x_5-x_4}$$

となります。次に各区間での$${f(x)}$$の値を考えますが、分かりやすいように左端の値にします。実際は区間内であればどの$${x}$$でも構いません。
このとき、分割された各区間の面積は左から順に

     $${f(x_0)(x_1-x_0), \: f(x_1)(x_2-x_1), \: \cdots, \: f(x_4)(x_5-x_4)}$$

となります。これらをすべて足すと上図の色付きの部分の面積になります。
記号で書くと

   $${f(x_0)(x_1-x_0)+f(x_1)(x_2-x_1)+\cdots +f(x_4)(x_5-x_4)}$$
  $${=\displaystyle \sum_{n=0}^4f(x_n)(x_{n+1}-x_n)}$$

となります。$${\sum}$$は総和を表す記号で、上下にある$${n=0, \: 4}$$は$${n}$$に0から4までの整数を入れたものをすべて足すことを意味します。
なお、$${\sum}$$はギリシャ文字でアルファベットの S に相当します。このsは英語の sum(総和) の頭文字です。積分記号のインテグラルと出所が同じです。

分割が少ないので曲線$${f(x)}$$、$${x}$$軸および2直線$${x=a, \: x=b}$$で囲まれた図形の面積を表すようには見えませんが、さらに分割したらどうでしょうか。

ここまで分割すればほとんど面積が等しいと考えられますね。これを究極まで分割して足したものが積分です。$${f(x)dx}$$の$${f(x)}$$が究極の長方形の高さで$${dx}$$がその幅です。つまり究極の長方形の面積を表しています。これらをすべて足したものが

              $${\displaystyle \int_a^b f(x)dx}$$

です。


記号は記号で

十分大きい数$${N}$$を考え、記号$${\Delta_nx}$$で区間$${x_n\leqq x \leqq x_{n+1}}$$の
幅$${\Delta_nx:=x_{n+1}-x_n}$$を表すことにすると

   $${f(x_0)(x_1-x_0)+f(x_1)(x_2-x_1)+\cdots +f(x_N)(x_{N+1}-x_N)}$$

  $${=\displaystyle \sum_{n=0}^Nf(x_n)(x_{n+1}-x_n)}$$

  $${=\displaystyle \sum_{n=0}^Nf(x_n)\Delta_nx}$$

で究極までNを大きくしたものが

              $${\displaystyle \int_a^b f(x)dx}$$

です。幅を表す記号にギリシャ文字$${\Delta}$$を用いたのは、差を意味する英語の difference の頭文字 d に相当する文字だからです。
こうみると$${\sum}$$の究極が$${\int}$$で、$${\Delta_n x}$$の究極が$${dx}$$です。

$${dx}$$の$${d}$$は difference でなく differential(微分) もしくは derivative(導関数) の頭文字です。

積分記号が「$${a}$$から$${b}$$までの範囲を細かく分割し、分割された細長~い長方形の面積をすべて足し合わせる」を表していることは伝わったでしょうか。
この考え方を使えば体積も求められます。▢

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これまでもそうですが、大学以降の数学を意識して書いています。特に有料部分はそれを意識して書いています。このマガジンから数学の内容が少し高度になり、このマガジンに入る三角関数、指数・対数関数、微分積分の入口は中学数学から大学以降への移行期に相応しいものです。

中学数学と高校数学の違いが明確になるのはここからです。これまで学んだ多くの知識を踏まえて話が展開するので理解するのは容易くありません。でも…

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