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30.10 積分の初歩(偶関数・奇関数)

特殊な性質の紹介です。


偶関数と定積分

2次関数$${y=x^2}$$や4次関数$${y=x^4}$$のグラフは、$${y}$$軸に関して対称です。

このような関数を偶関数と呼びます。偶関数の「偶」は指数が偶数であることに一致しています。
この関数の性質を利用すると次が成り立ちます:

      $${\displaystyle \int_{-a}^ax^2 dx=2\int_0^ax^2 dx, \quad \int_{-a}^ax^4 dx=2\int_{0}^ax^4 dx.}$$

左右の対称性から区間$${-a\leqq x\leqq 0}$$の積分と区間$${0\leqq x\leqq a}$$の積分が等しいので、一方の積分を2倍したのです。下端が0になっていると計算がらくですね。

例1 $${\displaystyle \int_{-1}^15x^2dx=5\int_{-1}^1x^2dx=5\cdot 2\int_{0}^1x^2dx=\frac{\:10\:}{3}.}$$

:グラフを描けば分かるように定値関数$${y=c \:\: (c\:は定数)}$$は偶関数です。


奇関数と定積分

1次関数$${y=x}$$や3次関数$${y=x^3}$$のグラフは、原点に関して対称です。

このような関数を奇関数と呼びます。
この関数の性質を利用すると次が成り立ちます:

      $${\displaystyle \int_{-a}^ax \:dx=0, \quad \int_{-a}^ax^3 dx=0, \quad \int_{-a}^ax^5 dx=0.}$$

区間$${-a\leqq x\leqq 0}$$では積分の値がマイナスで区間$${0\leqq x\leqq a}$$では積分の値がプラスになりますが、原点に関して対称なのでその値の絶対値が等しくなるからです。

例2 $${\displaystyle \int_{-1}^1(2x^3+5x)dx=2\int_{-1}^1x^3dx+5\int_{-1}^1x \: dx=0.}$$

注意 偶関数・奇関数の性質を使う場合は、積分の上端と下端の符号だけが異なっていることを確認してください。


練習問題

次の定積分を求めよ。
(1)  $${\displaystyle \int_{-1}^1(x^2+3x+2) dx}$$

(2)  $${\displaystyle \int_{-2}^2(x^3-5x+1) dx}$$

(3)  $${\displaystyle \int_{1}^{-1}(x^4-3x^2+2x-1) dx}$$

(4)  $${\displaystyle \int_{-3}^{3}(x^4+2x^2-3)(x^3+3x) dx}$$



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