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14.00 三角比(番外編 学習方法)

※※連載時は三角比の話が終わる少し前にこれを書きました。有料マガジンを作るにあたり前に移動させました。※※

これまでに三角比だけで37回も書いたので、たくさん覚えることがあるように思えますが実際は違います。
別のところで話したのですが、例や例題そしてその他の問題の多くは、理解を深めるための問題です。この数学事始めシリーズもこのことを意識して書いています。

そこで今回は、このシリーズ14の「三角比」では何を修得してもらいたいかを書こうと思います。数学を苦手にしている人の参考になれば幸いです。

修得してほしい内容を節番号で挙げれば、14.2, 14.13, 14.26 ~ 14.29 の6つです。14.2 と 14.13 は三角比の定義です。14.26 ~ 14.29 は三角比ならではの定理や公式です。これに 14.36 を加えれば十分です。14.36 は三角比がどのように活用されるかの好例です。


数学に苦手意識を持っている人は、前半は14.2, 14.13 を理解することに力を注いでください。理解していないのに答えが出せる状態は、どんどん数学が分からなくなってしまいます。焦らず理解することが大切です。後半は14.26 ~ 14.29 の証明部分でなく、基本的な使い方を身に着けてください。14.30, 14.31 も使い方の基本です。
これが修得できたら、お好みに合わせて学習を進めてください。数学をするなら14.26 ~ 14.29 の証明部分を理解してください。


数学を得意にしている (小学算数・中学数学をきちんと修得してきた) 人なら14.2 が理解できれば 14.3 ~ 14.10 は 14.2 の確認問題です。同様に 14.13 が理解できれば 14.14 ~ 14.25 も確認問題です。
見方を変えれば、14.2 を理解してほしいために 14.1 および  14.3 ~ 14.10 があります。つまり、解らなくなったら14.2 に戻って考えるようにすればいいのです。同様に 14.13 を理解してほしいために 14.11, 14.12 および  14.14 ~ 14.25 があります。


数学を得意にしている人はどんどん問題を解いていきますが、それは理解を深めるためにやっていることです。理解が深まればおもしろいからどんどん解くという好循環になります。だから、解法を暗記するということはしていません。自力で解いているうちにいろいろな考え方を身につけていきます。そういう人というのは、数学の啓蒙書(※1)にも手を出すのでどんどん数学の知識を得ていくのです。

シリーズ14は次のような構成になっています。
14.1 は既習事項の確認と定義の準備です。
14.2 は直角三角形による三角比の定義で、その意味が判ることが大切です。
14.3 ~ 14.10 は三角比の定義を理解するためのものです。

14.11, 14.12 は鈍角三角形に対する三角比の定義の準備です。
14.13 は0度から180度までの角に対する三角比の定義です。直角三角形による三角比の定義を視点を変えて定義し直しました。
14.14 ~ 14.25 は再定義した三角比を理解するためのものです。

14.26 ~ 14.29 は再定義したことで得られる三角形に関する定理で、三角形の面積公式、余弦定理、正弦定理の基本を紹介しました。

14.30 ~ 14.37 は三角形の面積公式、余弦定理、正弦定理がどのように応用されるかの紹介です。

14.38 以降は問題演習です。章末問題と捉えてください。こういう章末問題では、本編では扱わなかったけどおもしろい話題や問題を取り上げることが多くあります。専門書もその傾向がありますね。
また、他の分野と関連させた問題によって視野を広くするということも考えて選ばれています。特に教科書はよく工夫されていて、章末問題がA, Bのように2つに分かれている場合は、Bにそのような問題が含まれています。
       A問題はその分野の知識だけで解ける問題
       B問題は他の既習事項を用いて解ける問題
のように思います。▢

※1 数学の啓蒙書は数多あまたありますが、広く知られている本では
   岩波新書 吉田洋一 著『零の発見』、遠山 啓 著『無限と連続』
他に、小川洋子さんの小説『博士の愛した数式』のお陰で、数論関係の本もよく読まれていると思います。フェルマーの最終定理は有名ですね。最近ではリーマン予想でしょうか。

余話(もしも大学の授業なら)

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