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結局、麻雀のオンラインサービスって大変だな・・・と思った話

ネットマージャンプレイヤーの一般教養として、多くのバグや事後対応が話題になり、ある意味伝説的なオンラインマージャンゲームの「ジャンライン」を個人的にまとめましたので1記事挙げてみたいと思います。

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▲「ジャンライン」のパッケージ。発売日は2008年9月25日で当時の定価は3,990円。対応機種はXbox360でした(株式会社レコム)

本記事の発端は「姫雀鬼」

もともと「ジャンライン」を調べようと思ったきっかけは、別のネットマージャンなのですが、先日、姫雀鬼ひめじゃんきという新鋭のネットマージャンが、2021年9月6日にサービスの開始と同時に終了のリリースをしたことで話題になったことでした。

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▲「姫雀鬼」のタイトル画面。どこかで見たことがあるような。

この「姫雀鬼」は、タイトル画面だけで怪しい匂いがしますが、大人気ネットマージャン「雀魂」のそっくりさんなのです。デザインや仕様などを模倣していることが一目瞭然で問題なのですが、今回ご紹介する「ジャンライン」よりもバグが多いと言われているようです。

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▲「姫雀鬼」はサービス開始と終了を同日(2021年9月6日)の同時刻にリリースしたことで話題になった。

そういったいくつもの問題を抱えて、一瞬で消えてしまったネットマージャンとしては、「姫雀鬼」も伝説になるのかも知れません。ちなみに「姫雀鬼」と「雀魂」を比較した動画も既に挙げている方がいらっしゃいますので、ご興味があればご覧ください。

この「姫雀鬼」周辺を調べていたら、麻雀ゲームとしてのバグの象徴的な存在として「ジャンライン」が挙がってきました。「姫雀鬼」のような事態で、この「ジャンライン」を思い浮かべる方も多いようでしたので、まずは元祖を知るべきと考えて、「ジャンライン」を調べてみました。

「ジャンライン」とは?

ジャンラインは、Xbox360に本格麻雀ゲームとして登場し、通信対局ができるものでした。ふれ込みでは「麻雀牌の質感・音・動きなど細部までリアルに再現した、四人打ち超本格麻雀ゲーム」とあります。

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▲「ジャンライン」の画面。デザインは洗練されている。

ただ、発売時点から見た目とは裏腹に麻雀の挙動を逸脱した事象が多数発生しており、発売日に早くも公式サイトで謝罪していたようです。

ジャンラインの破綻(不具合)の内容

あまりにもバグが有名なのか、調べている途中でジャンラインのWikipediaも見つけましたので、詳しくはそちらもご参照ください。具体的な不具合は、このWikipediaの記載以外でも、以下のようなことが挙がっています。全てを挙げるのは難しいほど多くの事象が存在し、本旨と外れていくので、上記のWikipediaなどに記載を委ね、以下には数例だけ列挙します。

• 暗カンと明カンの区別が付いていない。
• ○本場での加点(1本300点)が無い。
• 点差表示が無い。
• チーで鳴いた際の牌選択が上手く出来ない。
• 対子・刻子の中に赤ドラがあると、崩す際に赤ドラしか選択出来ない。
• CPUがオープン立直に振り込む。

Wikipedia

オンライン対戦としても、フリーズが多発したり、負けそうになって途中脱落してもペナルティが無かったり、同一プレイヤーで連戦できないなどあるようです。

そしてインパクトがある特記事例としては「亜空カン」という呼び名がついている「カン」の処理です。それはカンした際に4つの牌に他の牌が混ざっているというものです。文章ではわかりにくいかも知れませんが、以下のような感じです。

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▲「東」をカンすると「東」以外の他の牌が混ざり、手牌に「東」が残っている状況。
ただし、この状態でも手牌が揃えばあがれるらしい。

比較的最近ではあるのですが、この「亜空カン」についても動画で挙げている方がいらっしゃるので、ご興味があればご覧ください。フォローではないですが、プログラム上「カン」の処理は難しいのでしょうかね。なお、このゲームは、2008年のクソゲームオブザイヤーの据え置き機部門で次点に入ってしまっています。

株式会社レコムのマージャンゲームの開発と運営

開発会社の株式会社レコムという会社(以下、レコム社)は、「ジャンライン」について、修正パッチを出すものの、更に不具合が発生し、事態が悪化するという技術的な問題を持っていたようです。レコム社はパッチ配信と同時に公式掲示板とブログを閉鎖して、その後は現在も不具合についての報告や謝罪等はされていないと言われています。

レコム社の麻雀ゲームの開発は意外と多く、会社公式のホームページの「開発実績」から「オンライン麻雀」を抜粋すると以下のように複数ありました。

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▲レコム社の「オンライン麻雀」ゲームの実績(公式HPより)
※今回の「ジャンライン」は一番上段に記載しています。

「ジャンライン」の次に PS3で「ジャンライン R」というソフトをリリースしますが、特に話題になるバグはなかったものの、さすがに ”前作” の影響が大きかったのか売り上げは苦戦したようです。”ジャンライン” の冠を外した方が良かったのかも知れません。

この 次作 ”” の売り上げ不調の原因は、レコム社の別のオンライン麻雀になりますが、500円でダウンロード販売の『THE 麻雀』のリリース時期と近接していたことが影響したということも示唆されています。レコム社ではプロジェクト管理も難しかったのでしょう。

今回 note に挙げた「ジャンライン」の開発にあたっては、担当者が麻雀素人だったという話もありますが、開発された他のゲームに「雀荘育成ゲーム 麻雀ワールド for mixi」というシミュレーションゲームもあることから、レコム社の社内では ”麻雀好き” の方が在籍していたのだろうと想像します。

ネットマージャンのサービス継続の難しさ

競合のネットマージャンが少なかった時代は、人間のプレイヤーを集めるというソフト立ち上げ時期の苦労もあったと思いますが、バグのような初期不良がある場合は、立ち上げ段階の致命傷になりかねません。

さらに今でこそネットマージャンは多数存在していますので、立ち上げ後もうまく固定客を集客できなかったネットマージャンは、容易に ”過疎化” してしまいます。ネットマージャンのサービスを維持継続していくのは大変な努力が必要なのだと感じます。

利用者としても、対戦者がいないネットマージャンを選んでも、卓が立つまでに時間を要するのは苦痛です。ログインしたら、速やかにプレイしたいのが心情です。また、そのネットマージャンでの自分自身の実績や戦績などの ”やりこみ要素” が継続されないサービスであれば、そのネットマージャンに ”通う” 必然性も乏しくなります。如何に上質なネットマージャンであっても、負の循環に陥ってしまえば、ジリ貧となり、将来的に運営困難となる可能性も少なくないと思われます。

プラットフォームがなくなった事例

レコム社は上記の表中の他にも「雀神道」というネットマージャンもリリースしています。2018年5月18日から正式にサービス開始になったのですが、「Yahoo!ゲーム ゲームプラス」をプラットフォームにしたブラウザの麻雀ゲームでした。

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しかし、ヤフーは、2020年6月23日にこの「Yahoo!ゲーム ゲームプラス」を3カ月後の2020年9月23日に終了すると発表したのです。この麻雀ゲームだけが影響したわけではないでしょうが、コンテンツが支持されなかったか、経営的な判断の中で、サービスの維持継続が困難になってしまいました。

オンラインゲームとして独立した運営をしていなかったために、プラットフォーム廃止に巻き込まれた形でしょうが、その後、別の形で継続して運営した様子が見られていないので、権利面、運営面、経営面などで「雀神道」はサービス終了になったものと思われます。

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▲検索できた「雀神道」の最後のツイート。もうアクセスできない。

長くサービスを提供するオンライン麻雀ゲーム

ユーザー同士で対戦するオンライン麻雀ゲームの老舗「東風荘とんぷうそう」は、1996年12月にサービスが開始されてから約21年後の2018年3月末に惜しまれながらサービスが終了しました。

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▲「東風荘」のサンプル画面。昔のデザインに味わいも。

また、私が良く note の記事にしている「Maru-Jan」は17周年、ネットマージャンの定番である「天鳳」も2006年から15周年を迎えております。基本的には、大きなトラブルを起こさず、麻雀本来の基本的な制御を保っていて、何れもシンプルな設計でわかりやすいことが幅広い年代層に支持されているのかも知れません。さらに、「コナミ麻雀格闘倶楽部」や「セガMJ」など、堅牢な運営で定番化しているネットマージャンも多数あります。

ネットマージャンに自然と求めているもの

私も様々なネットマージャンをプレイしてみましたが、長く利用させていただいているものは、基本的に設計がしっかりしたものや、サービスやシステムの日頃のメンテナンスの様子が良好なもの、運営と利用者のコミュニケーション(情報発信力やイベント運営力)のような総合的な安定感が垣間見られるネットマージャンを選ぶことにどうしてもなってしまいますね。課金するならなおさらでしょう。

普通に遊べて普通に維持継続されているオンラインサービスのことを思うと、こんな大変なことがあるだろうかと「ジャンライン」のことを調べていて強く感じました。オンラインサービスもリアル雀荘と同じように維持継続していくのは大変ですね。

私は note でさえ誤字脱字を頻発していますので、ジャンラインにならないように頑張りたいと思います。

おまけ

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おしまい

よろしければサポートをお願いします。 記事作成のための活動費(画材・映像などの資料購入、Wikipedia支援など)として有効に活用させていただきたいと思います。