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<ネタにできる古典(2)>きったない足の裏の歌

 読むとちょっとニヤリとしてしまうような古文を集めています。第二弾は和歌。

(本文)
 物に籠りたるに、知りたる人の局並べて正月行なひて出づる暁に、いと汚げなる下沓を落としたりけるを、取りてつかはすとて
  あしのうらのいと汚くも見ゆるかな浪は寄りても洗はざりけり


(現代語訳)
 とあるお寺にお籠りしている時に、知人が隣の部屋で正月のお籠りを行ってから出立するというその夜明けに、なんとも汚い靴下を落としていたので、それを拾って届けるということで
  葦の生い茂る浦が、
  なんとも汚く
  見えますよ。
  波が打ち寄せてきても、
  洗ってはくれなかったのですなあ。
/あなたの足の裏はめちゃくちゃ汚いことでしょうよ(だってこの靴下が無いわけですもんね)。      

後撰和歌集 1262 よみ人知らず

 「葦の浦」の歌としてまとめつつ、掛け言葉として「足の裏」の意味を響かせてその汚さを暗に(?)指摘したお歌です。雅な言葉で靴下を届けるあたり、見方によっては意地が悪く見えなくもない気もします。




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