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<ネタにできる古典(10)>覗く女

 後撰和歌集は異色の勅撰集。それは平安貴族のリアルを伝える歌集です。

源のおほきが通ひ侍りけるを、のちのちはまからずなり侍りにければ、隣の壁の穴より、おほきをはつかに見て、つかはしける
  まどろまぬ壁にも人を見つるかな正しからなん春の夜の夢

 
駿河様のところには源おほきという男が顔を出しておりましたが、しばらく経った後には参りませぬようになりましたので、駿河様が隣の部屋との仕切りの穴からおほきを微かに見て、歌をお遣わしになりました。
   白昼夢でしょうか
   何だか私の部屋の壁に貴方が
   映っているようです。
   せっかくなら現実になれば良いのですが
   この春の夜の夢が…。

後撰和歌集 恋一 509 駿河

 健気な女風の歌ですが、やっているのは覗きです。
 こんな振る舞いは内裏に上がった平安女性の日常だったのかもしれません。

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