Apple Pencilを治しに
Apple Pencilが壊れてしまった。
買い替えてから三ヶ月だと言うのに、動作がおかしくなってまともに線が引けなくなった
文字通り筆を折られた訳だが
これが苦しい、俺は、いつ何時でも絵が描けるようにiPadと Apple Pencilを持ち歩いて小さな待ち時間を潰しているほどiPadに依存しきっているから
よく眠れなかった
昼過ぎに家を出て、手帳パスで一時間かけてApple Storeへ向かう。(電車賃がないのだ)
手持ち百円で遠いところに来てしまった。自販機のジュースでさえ俺が見えていない。
修学旅行だと思えば…と考えていたが、ここには引率も、同行人もいない
予約が必要で、一時間半ほど待つように言われた
こんなこともあろうかと、自由帳とペンを持ってきたと言うのに、筆が進む気がしない、体が重い。
スマホの契約も切れている、ので、この文章はメモ帳に書き起こしているものだ
地図を頼りに喫煙所へ向かった
大きな施設の喫煙所は屋外で風通しが良いところに四角くパーテーションが組まれた場所で、広い方だが灰皿が中心にしかなかった、灰を落としたいので中心に向かった
社会人が談笑している話の中に佇んで、わかばなんか吸ってしまった。
煙が不快だっただろうか、談笑の話題に俺はいるのだろうか
喫煙所から出て外の空気を吸う、
深くタバコを吸うと、歩ける気が全くしない。花壇なんか見た。
あと一時間か
これで待って、問題が保証切れのiPadにあったり、Apple Pencilの保証が一年じゃなかったり、なにかほかに意地悪なシステムがあったら、まっすぐ帰ることになる。まっすぐは歩けないな
なるべく前向きに、気さくに努めている
家に来た業者に冷たい水を差し入れるくらいには良心があって、働くための準備も進んでいて、部屋の掃除だってできるのに
「社会」の中にいると、耳を塞いでまあるく縮こまることしかできないのだ
不安は必ずどこかしらにある、見えないところにしまっておいても生活していれば現れて、それが思ったよりあったりする。不調を起こす。
自分を殺してやりたい、薬を飲む
自分を殺してやりたい、タバコをすう
自分を殺してやりたい、深呼吸する
殺人犯のような目つきをヘルプマークが守ってくれる。
ゆっくり深呼吸して
まだ俺にはやることがたくさんある
後日談
Apple Pencilはペン先の劣化ということだった
買うかどうか問われたが買えないので、箱に付属していると言う予備のペン先を探してみることにする
帰りのバスが分からなかった
Wi-Fiで探し出した情報を元に探すのだが、情報が古いのか、俺がポンコツなのか一向に見つからなかった
もう一方のバスロータリーに行って運転手に聞くと「向こうのロータリーだから」と言われた、
地面にへたり込んで、涙が出そうになった
見てくれが悪いので近くのベンチに座っていると、ベンチとベンチの間でホームレスがワンカップを煽っていた
「タバコ要りますか?私と吸ってくれませんか?」
「一緒には吸わないよ、タバコはいる」
セブンスターを一本手に取った老人はすぐ横のベンチに座っていた女性に手渡した
「ありがとうよ」と言われた
エゴだ、あんまりに寂しくてホームレスにタバコを譲ることで会話しようとした
ここに来た意味が欲しかった、苦しくて
私の肺に入るくらいなら、誰かが吸ったほうがいいのだ
このクソみたいな社会は、人間にはきびしすぎるから
すっかり夜だ。
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