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静岡が舞台:榛名丼『レプリカだって、恋をする。』読了(追記あり)

2月10日に発売された榛名丼先生のライトノベル『レプリカだって、恋をする。』を読了した。
第29回電撃小説大賞の大賞受賞作の当作品、作者の榛名丼先生は静岡出身で、作中の舞台も静岡市だということを、同じく静岡を活動の場としているご当地Vの方のリツイートで知り興味を持った次第だ。

榛名先生のアカウントもフォローし、発売を今か今かと待っていたところに、マシュマロユーザを中心としたTwitterの大量凍結事故が発生。僕も漏れなく巻き込まれてしまった。
謂れのない凍結だったので、当初は異議申し立てさえすれば数日で解除されるだろうと高を括っていたのだが、発売日になっても凍結解除されることはなく、なので、公式の発売ツイートなどをリツイートすることもできず、現在に至るというわけだ(発売日に向けて地元民を盛り上げたかったのですが、残念です。榛名先生すみません……)。

発売日当日、静岡は生憎の雨だったため、その翌日、2月11日に地元の戸田書店にて『レプリカだって、恋をする。』を購入。

晴れた日に戸田書店で購入。けろけろ。

久々のライトノベルということで、一気に読むことはせず、仕事の合間合間に、じっくり数日かけて読ませていただいた。

Twitterは使えなかったので、その間のマストドンでの雑感の呟き。

まあ、偉そうにライトノベルを語る程の知識を持ち合わせていない僕なので、単純にさわやかな物語を楽しませてもらった次第。

とある少女の<分身体>(レプリカ)として生まれた少女が主人公の恋愛小説、という事前情報を得ていたので、勝手にSF作品、自分の複製のロボットを購入して代理で行動させられる社会のお話か? とか勝手に想像していたわけだが、特にそんなことはなく。

何故かはわからないが、自分の複製体を生み出せる能力を持ってしまった少女……ではなく、その複製体の方の少女の主観視点から語られる夏から秋にかけて静岡の物語、といった感じだ。
なぜレプリカが生み出せるのか、レプリカとはどういう存在なのか(もちろん登場人物なりの検証はしているが)、という部分は話の筋自体的にはさほど重要ではない。

その「本人ではない代理として生まれた少女」の恋のお話なのだ。
どちらかといえば「少し不思議」系に属すると考えられる。

で、この作品の個人的な一番の肝は「静岡市が舞台」ということだ。

静岡市といっても実は大きい。旧静岡市と旧清水市が合併し、由比や蒲原までも取り込んだ静岡市はかなりの面積を誇る。その静岡市の「どの辺?」っていうのが個人的な興味だったわけだが、静岡市の西側である用宗(「もちむね」と読む)が主な舞台だ。

つまり、同じ「静岡市」でも僕が生まれ育った清水区(旧清水市)とは、物語の重要な場所である「日本平動物園」をはさんで逆側が舞台、というわけだ。

用宗か。行ったことがないわけではないが、僕にとっては子供を連れて広野海岸公園の難破船の遊具で遊んだり、海を見たり、SBSマイホームセンター静岡展示場にヒーローショーを観に行ったり、と「遊びに行く」エリア近辺という印象になってしまう。
子供の頃に父に釣りに連れていってもらったような記憶もあるか。

もちろん、日本平動物園や静岡駅周辺といった、静岡民の「共通言語」的なロケーションも登場するので、自分的にはこの作品に登場する土地の解像度が、ある程度高いといえば高い(知らないところは知らないけど)みたいな感じか?

さすがに安倍川の静岡大橋をチャリ通で通う女子高生の気持ちまではわからないが……。

静岡民は車移動が基本だが、都内から地元に引っ越してきたばかりの頃は車もなく、子供を日本平動物園に連れていくのに、東静岡駅からシャトルバスで行ったこともあったから二人の見たであろう景色もよくわかる。

ただ、ある程度、解像度が高いが故に、あの二人がレッサーパンダ舎を出た後、通常想定されるコースとは逆回りで日本平動物園を巡るのは何か意味があるのだろうか? などと余計なことを考えてしまう羽目にもなったりした。

そして、何より夜の駿河湾の暗さ、黒さ(そして急激な深さ)を知っていると、クライマックスの絶望はより一層深いものとなる。

もちろん物語の中ですべてが解決したわけではなく、これから先も様々な困難が二人を待っていると思うのだが、個人的には、後輩の広中律子の存在に救われた。
というか、途中まで彼女のことを心配していたのですよ。でも、彼女の存在そのものが救いだった。それだけで、良かったと思えた作品だった。

イラストは表紙も含め、透明感のあるイラストだったけど、真田くんに関してはもうちょっと無骨で不器用そうな印象を持っていたので、そこは意外なキャラデザだったかもしれない。
ともあれ、死がふたりを別つまで、幸せであって欲しいですな。

……というか、地元を舞台にした作品、いいですよね。
僕もいつかは書きたい、と思いつつ、書けてないのが現状(さりげなく寄ったり、伊豆辺りが舞台ってのはあるのですが)。いつかは静岡をがっつり舞台にした作品が書いてみたいな、と強く思った作品でした。

楽しませていただきました。
僕も頑張ろう。

《2月17日追記》
2月に入ってすぐにTwitterが凍結してしまい情報収集能力が欠如してしまっていたせいで気付かなかったのですが、読了後、公式サイトを見てみたら、静岡エリア限定で「書き下ろしSSリーフレット」が配布決定という表記がありました。

僕が購入した書店も含まれていたけど、貰った覚えはない。発売日翌日に購入したので品切れの可能性も低い。ということで、購入した書店に問い合わせてみました。どうやら、店員さんが把握してなくて渡し忘れたようですね。というわけで、貰ってきました。

静岡限定書き下ろしSSリーフレット

リーフレットに掲載されていたのは、見開き2Pのショートショート「部室deしぞ〜かおでん」。
ある日の文芸部の部室の出来事という体で、本編ではオミットされていた登場人物たちの静岡弁待ったなしの地元ネタマシマシSSでした。
もし、静岡在住の方がいましたら、公式サイトを確認の上、配布予定の書店で購入してみてくださいw
以上、追記でした(品切れじゃなくて良かった……)。


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