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M1 Macでマイナンバーカードを使う

AppleシリコンM1搭載のMacシリーズは、昨年11月に発売されたばかりということもあり、ソフトウェアもハードウェアも対応できているものもあれば、まだ対応作業中というものも多いです。また、不具合とみなせる事象も少なくありません。

今回はこちらについて。

M1 Macで確定申告(e-Tax)に注意

確定申告(e-Tax)を利用する際に、M1 Macに対応していないカードリーダーがあるので注意して欲しいというものです。

このニュース、結構あちこちで取り上げられて話題になっているのですが、いったいどのカードリーダーが使えないのか、はっきりしないので、やってみるしかないという感じのようです。

いままでMacで住民基本台帳カードとe-Taxを使っていた利用者の皆さんは、ICカードリーダーのドライバの、最新macOS(OSX)への対応が一周遅れであったことは毎度のことで、いまさらこの事態に驚かないというのが正直なところ。

私もかつてNTTコミュニケーションズさんが販売していた「SCR331DI」というカードリーダーのOSX用ドライバを、毎回NTTComのICカードリーダーサイトにアクセスしては未対応にがっかりするのを繰り返してきました。

途中から確定申告用の旧OSを構築して、ParalellsやVMware上の仮想Macで済ませるという自衛手段でしのいできた方もたくさんおられたと思います。

最近は、スマホと連携させる方法も提供されたので、この問題もだいぶ解消されてきたと思います。

とはいえ、M1 Macにカードリーダーを挿して使いたい場合もあると思います。以下、ネット上で見かけたり、私が確認したM1 MacでのICカードリーダー動作確認報告です。

M1 MacでICカードリーダーを動作させた報告

●SCR3310-NTTCom(NTTコミュニケーションズ社)

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最初に発見した報告はこちらのもの。

ただしこの商品はNTTコミュニケーションズ的には「※販売終了品」だそうです。市場流通在庫や互換商品が入手可能だという感じ。

報告によると、JPKI利用者ソフトを利用して「自分の証明書」を読み出した段階だそうですが、ここまで出来れば大丈夫じゃないかと私も思います。

本家開発元の最新ドライバはこちら。

●ACR39-NTTCom(NTTコミュニケーションズ社)

こちらの現行製品でも大丈夫のようですが、こんな情報も…。

●Gemalto IDBridge CT30(販売:ペンティオ株式会社)

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日本の販売代理店はこちらのようです。

ただ、もともとのメーカーであるジェムアルト(Gemalto)社は2019年にThales社に買収されたようです。

追記:
あとに紹介するぴタッチをインストール後でしたが、パソコン側のセッティングには何も変更を加えずにそのままCT30を接続してみました。すると、私のところでも問題なくマイナンバーを読み取ってくれます。報告者の方もドライバのインストールなく汎用的に使えたということなのかもしれません。(ぴタッチのドライバは関係ないと思われます。)
追記2:
関係ドライバをインストールしたことのないIntel搭載Macで、公的個人認証サービスの関連ソフト(とJava実行環境)のみをインストールしてCT30を接続したところ、読み取り可能でした。CT30の説明書をよく読むと「ネイティブのCCIDドライバによりサポート」と記載されていましたので、Macの標準ドライバが対応してくれているようです。M1 Macでも同様だと思います。

●USB-NFC3(アイ・オー・データ社)

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アイ・オー・データ社のICカードリーダーです。ぴタッチという愛称を付けています。

ぴタッチもアイ・オー・データ社から正式にドライバソフトが提供されて、M1対応になっています。もともとの開発元であるAB Circle社のこのデバイスはあちこちの会社にOEMしてるみたいなので、今後はそれらを意識して購入すると安心材料が増えそうです。

--(以前の記述)

もともとWinとMac対応なので、日本の会社ということも相まって、Macユーザーにとっては安心感があったのですが、今回のM1 Macへの対応はまだ表明しておらず、また例の周回遅れか!と思えます。

この「ぴタッチ」の開発元はAB Circleという会社のようです(ドライバをインストールするときにもそれがわかります)。そして、元の会社のWebサイトに行けば最新のドライバが手に入ります。

このページの下にある「USB Mac Installer」からダウンロードすれば、v2.0.5という最新バージョンが手に入ります。

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readmeファイルにはサポートOSに「MacOS X 11 (Big Sur) on Apple M1」が明記されています。M1 Macに正式対応したICカードリーダーの一つということになります。

ドライバ自体はApple Silicon (M1)対応のようですが、e-Taxに必要な「JPKI利用者ソフト」「利用者クライアントソフトVer 3.0」「JRE(Java実行環境)」「事前準備セットアップ」などはRosetta2の利用が前提になります。

実際、私自身もインストールをして、「国税庁 確定申告書等作成コーナー」でメッセージボックスの確認や作成開始のところまで試して動きました。

なお、AB Circle社が各社にOEMしている機種は多いようなので、この製品以外でも同じように実質M1対応しているカードリーダーはたくさんあると思います。

●GOPPA製「GP-ICCR/W」(取扱:アイ・オー・データ社)

以下のビックカメラ通販サイトでM1 Macでの利用に関して報告がありました。

https://www.biccamera.com/bc/item/8564165/

●MR-ICA001BK(エレコム社)

エレコム社からもmac OS対応のMR-ICA001BKが発売されています。

形状から察するにAB Circle社の開発したものを採用した製品のようです。


非対応が確定しているもの

◯uTrust4701F(NTTコミュニケーションズ社)

対応OS欄に「macOS Big Sur  ※Apple M1チップを搭載したMacには対応しておりません。」と明記。

「注意喚起」は大げさすぎた?

さて、ITmediaの記事などで国税庁の「お知らせ」が「M1 Macでの確定申告書類提出に注意喚起」として報道された件。

こうして具体的なカードリーダーの使用可否を追っていく中で、報道から受ける強い懸念が和らいでいく印象を持ちます。実際、国税庁の「お知らせ」ページの内容は、報道がキャプチャしたものから変わっています。

ITmediaのキャプチャ画面

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現在(20210113)のキャプチャ画面

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書いてある内容は基本的に変わっていないですが、「Apple社のM1チップ搭載端末をご使用の方へ」と直截的なタイトルから「パソコンを買い替えた場合等のご注意」と変更し、文章構成もApple社 M1搭載マシンの言及部分を下げて、ページ自体のトーンを弱めました。

公的個人認証サービスのサイトにある「マイナンバーカードに対応したICカードリーダライタ一覧」には、個人/法人向けの多様なカードリーダーがリストアップされているため、確かにこの中の一部が対応しなくなる可能性は十分あり、Apple M1 Macが大変な話題になっていることも考慮して、当初は目立つお知らせを出したのだと思われます。

とはいえ、現在市場に流通しているカードリーダーや過去のものでも個人向けのカードリーダー製品はわりと問題なく動作することも見えてきたため、おそらく動作しないものがあるといっても限定的で、そのわりに報道の影響や懸念反応の強さを鑑みて「お知らせ」のトーンを見直したのではないかと思います。(もちろん、推測です。)

何が動作して、何が動作しないかは依然曖昧であるため、業務で使用する法人ユーザーにとっては大問題であることは変わりませんが、そういうユーザーではない人々が過剰に反応してしまっているのが現状なのかなと思います。

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