基本③4つのGreeks
さて、次も価格(プレミアム)の要因となる指標です。
最初見たときはGreeksって何!?と意味が消化しきれないため嫌でしたが、慣れると非常に便利なものです。羅針盤のようでもあり、また自分を守るために縛るルールのようなものでもあり、身につけなければなりませんので概念だけ確実に暗記しましょう。
ここでは代表的(これで十分)な4つの指標と、その特徴を記載します。
1. デルタ
4つの中で一番よく使う値です。特に先物はデルタを売買しているといっても過言ではありません。
簡潔にいうと、原資産価格が1単位したときに、オプション価格がいくら変動するかを表すものです(変化率)。
例えば、日経平均が1%上昇した場合、⊿=1の先物は1%(y=x)上昇します(変化率100%)。⊿=0.5のときは0.5(y=1/2x)上昇します。
これが便利である点を数点あげてみます。
①デルタは権利行使価格となる確率を表す
例えば⊿=0.05のCallオプションがあれば、それは「権利行使日に5%の確率でITMになる」確率を表しています。一方で、ATMについては⊿=0.5となります。これは、オプションの基本前提として正規分布に従うとされているからです。
②デルタ・ニュートラル
例えば現在の現物株PFのβが2であった場合、元となる原資産(このときはインデックス)の2倍資産が上下する可能性があることを示しています。過熱感があり買われすぎているときに、リスクを減らしたいときは先物売かオプションを仕込むことでデルタを調整して、原資産価格の変動の影響を最小限に抑えることができます。
③デルタ・ヘッジ
IVを利益に変えたい場合や、時間の経過を利益に変え場たい場合は、原資産価格の上下は固定したいと考えます。そのときにデルタを0に調整することで価格変動リスクを消すことができます。
2. ガンマ
こちらはデルタの変化率(変化速度)を表しているもので、デルタに付随する指標といえます。個人的には一番敵にしたくない指標です。
変化速度ということは、暴騰・暴落が訪れた際は、オプションの価格を非常に押し上げる原因となるものです。オプションの買であれば爆益、売であれば爆損の原因です。
①ネガティブ・ガンマ
たまにBloombergの記事で目にする言葉ですが、これは「オプションを売る=ネガティブガンマのポジションを持つ」ということを表しています。オプションを売るということは、「その価格には到達しない(ITMにならない)」ことを期待したポジションを有しているということです。オプションが溜まっている建玉は相場の転換点になりやすいため、先物手口でチェックするといい参考値となります。
②ガンマトレード
デルタ調整で記載しましたが、デルタを0に調整することで、価格の変化速度のみを利益に変えることができます(現物の値動きをヘッジしながら利益を得る)。ただし、後述するセータの効果があり、かなり難しい戦略です。
またガンマはATM付近で最大となりますので、ATMに近いオプションを買う必要があるのも難点です。
3. セータ
上2つのGreeksを見るとオプションは買いが有利と見えますが、買側にとって一番の敵は時間による減価です。当たり前ですが、オプションはOTMである限りSQでは権利失効0円となりますので、現物株にはない時間による価値の減少が発生します。セータは、この時間経過による1日当たりの減価額を示しています。
①ガンマと相反
ガンマはATM付近で正に最大となるのに対し、セータはATM付近で負に最大となります。つまりATM付近では減価のスピードが速いです。これがガンマを扱う上でトレードを難しくしている点です。
②保有時間が長くなる
セータで利益を得ようとすると、どうしても売でオプションを保有する時間が長くなります。つまり、リスクにさらされる時間が長くなるということです。また、イベントでガンマが大きくなるとネイキッドの場合は爆損を被る場合があります。
4. ベガ
こちらは、IVの変動率がどれだけオプション価格に反映されるかを示した指標となります。上記3つとは毛色がことなりますが、オプションの真価はベガだと私は思ってます。
①ボラティリティ・トレード
イベント前(SQ週やFOMCなど)はオプションが活発に売買される傾向がありますので、このようなときはベガは増大します。このようにイベントを見越して、デルタを調整することで、ボラティリティから利益を得ることができます。相場の上げ下げがわからなくても利益を得れる、オプションの醍醐味ではないでしょうか。
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