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2021年のお仕事振り返り

フリーライター3年目の年。たくさんの取材・執筆をさせていただいた。以下に主なお仕事の振り返りを。

遠藤光太の個人ウェブサイト👉

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上野千鶴子さんに僕が聞いたこと「どうすれば自由に、幸せに働けますか?」/ハフポスト日本版

昨年の今ごろに上野千鶴子さんへの取材をしていた。事前準備の段階で、改めてご著書を読み返したり、東大の祝辞を聞き直したりした。なかでも『女たちのサバイバル大作戦』(文春新書)は、日本のジェンダー現代史がまとまっていて、質問づくり・構成づくりの土台になった。

また、記事には載らなかったが、取材中に自分のジェンダー観の甘さを痛感させられる経験をした。印象に残っている出来事。


2040年、日本をリビルドする - 世界を多角的に見れば、価値観も変わる - FQ (Future Questions) - Yahoo! JAPAN

『人新世の資本論』の斎藤幸平さんへのインタビュー。僕とは生まれ年は2年しか違わず、ほとんど同世代。これから、40代、50代と進んでいく斎藤さんの発言には、同世代の立場から注目していきたい。


「自閉症の息子がいる親として、ありがとう」イギリスで映画化された『僕が跳びはねる理由』翻訳者が語ったこと/ハフポスト日本版

イギリスの作家、デイヴィッド・ミッチェルさん。Zoomで、通訳の方に入っていただき、インタビューをした。言語が違ってもインタビューはできる。話を聞こうとする姿勢は伝わる。おそらく聞き手によって全く異なる様相のインタビューになる。そのことを学ばせてもらった。2021年は、ほかにも海外の方にインタビューした。

withnews連載「発達障害とパパになる〜子育て苦闘の7年間」(全18回)

会社員の副業でライターをしていたとき、「副業のままでは書けない領域がある」と感じていたことが独立する理由のひとつになった。この連載は、まさに副業のままでは書けなかった領域だった。最も辛かった時期を細密に思い返した。日記を読み返し、写真・動画を見返した。7年間の子育てを脳内で再生して、原稿に詰め込んだ。

書けて嬉しかった。連載は今年、書籍化して出版予定。楽しみだ。


男性に子育て・家事はできない、なんてない。 - 安藤 哲也 | LIFULL STORIES

子育て連載をしている時期に偶然、ファザーリング・ジャパン代表の安藤哲也さんにインタビューする機会を得た。取材がきっかけでFacebookの友達になったのだが、普段から仕事も家事もされている様子が伝わってきて(料理がいつも美味しそう!)、尊敬する。安藤さんのような父親像を目指したいと思わされている。

ルッキズムは男性には関係ない、なんてない。 - トミヤマユキコ | LIFULL STORIES

『少女マンガのブサイク女子考』(左右社)は、いろんな人におすすめしている本だ。テレビで容姿をいじるのをたびたび目にしてきた世代の人からすると、「ルッキズム」は理解しづらいものに感じてもおかしくない。トミヤマさんは、少女マンガに引き寄せて、身近な問題として説く。

そして「セルフラブ」の話へと展開させていく語りに、引き込まれた。

「学校は友だちができなくても当然の場所」ヒャダインさんが学校生活に悩む子どもたちに伝えたいこと #今つらいあなたへ(Yahoo!ニュース オリジナル Voice)

ヒャダインさんの言葉は多くの人に届いたようだった。この場を任せてもらえて嬉しかった。ちなみに、記事の冒頭に載っている動画は、インタビューしたときの映像を素材にして編集されたもの。このようにハイブリッドなスタイルの取材は、これからの時代ではもっと増えていくだろう。


芥川賞作家・李琴峰さんが明かす「“真ん中”に立つ自分が感じる違和感」/ハフポスト日本版

李琴峰さんは同い年で、李さんは台湾生まれ、僕は沖縄・宮古島生まれ。近い場所なのに、国が異なり、文化も別々。また、李さんがデビューした第60回群像新人文学賞には、僕も応募していた。当時は、悔しい思いもあった。時を経て、東京で会って取材していることを不思議に思った。越境や異文化の混成といった視点は、芥川賞受賞作『彼岸花が咲く島』が扱っているテーマでもある。刺激を受けた取材になった。

「勝つ物語」より「負けた時の物語」が必要だ。臨床心理士・東畑開人さんと考える、小さな希望の見つけかた/ハフポスト日本版

『居るのはつらいよケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく) 』(医学書院)、『野の医者は笑う: 心の治療とは何か? 』(誠信書房)など、東畑さんのご著書は以前から好んで読んでいた。カウンセリングルームに伺って話を聞いたが、「カウンセリングは足を運んで実際に会わないとだめなんだ」と直感的に思った。お話を伺えて嬉しかった。

「シャワーの音でごまかして、お風呂場で泣いた」IZ*ONEで活動した矢吹奈子が韓国でのアイドル活動で越えなければならなかった壁(Yahoo!ニュース オリジナル Voice)

HKT48で、昨年途中まではIZ*ONEでも活動した矢吹奈子さん。ヒャダインさんに続き、こちらも多くの方に読まれる記事になった。取材を通して、アイドルは社会的マイノリティだということを僕は学んだ。

【VR当事者会】ASDの私たちの、暮らしに役立つ対処法(前編) - 記事 | NHK ハートネット

2019年に『ハートネットTV』に出させてもらってから、細く長く、VR当事者会を続けている。始まった当初はコロナ禍など露知らず。しかし今となっては、オンラインで集うことが当たり前の社会になった。VRで実施する当事者会には可能性があると思う。2022年も開催予定。

「梅切らぬバカ」自閉症の息子演じた塚地武雅さんと和島監督に聞く。社会はゆるやかにつながれるのか/ハフポスト日本版

#発達障害と生きる というカテゴリーがハフポストにできた。11月には多くの記事が出て、僕もいくつか担当した。

『梅切らぬバカ』は取材前に試写で観させていただき、これは良い作品だと確信した。公開後は、実際に高く評価され、上映館数もどんどん増えていっている。ドランクドラゴンの塚地さんは、質問を聞いているときの表情、受け答え、話題の出し方、どれもが勉強になった。和島監督は、気が早いが、その繊細な視点で次にどんな作品を撮ってくれるのかがとても楽しみ。

今回の特集で、他の記事では、はとばのメンバーも寄稿し、僕は編集協力した。仲間たちと協業できたのも嬉しかった。


精神科医・本田秀夫さんに聞く、発達障害のある子どもの育て方で大切なこと/ハフポスト日本版

本田秀夫先生と考える「大人になって発達障害に気づいた僕たちの幸せな生き方とは」/ハフポスト日本版

本田秀夫先生にインタビューできたのは光栄だった。未来から2021年を振り返るときに、思い出す出来事になると思う。というのも、5年前に僕の発達障害が判明した直後から、本を通じて救われてきた人のひとりだからだ。

“世の中には、平凡で幸せな人生を送ることができた自閉症スペクトラムの人たちがたくさんいます。彼らは、必ずしも天才肌の人たちや大成功を収めた人たちばかりではありませんが、生活の中でささやかな楽しみややり甲斐を見出しながら、社会人として充実した人生を送っています”
『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』より

「ささやかなやり甲斐」を見つけて生きていきたいと、改めて思った。

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挙げきれないほど多くの方にお話を伺い、原稿を書かせていただいた。
インタビュイーの方々、読んでくれた方々、お仕事を依頼してくれた方々、協業してくれた方々には感謝でいっぱいです。

2022年もどうぞよろしくお願いいたします。

#2021年の出会い

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