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全てに、理由がある。

毎月1曲以上のペースで発信している僕にとって、
最も強く心に刻まれている1曲。

昨年リリースした、「Reason」がそれです。


2019年の、挫折。

僕にとって当時、この曲を世の中に出せたことは、音楽の創作者として自分の壁を一つ超えられたことを意味しました。

それと同時に、次なるステージがあり得ないほど鉄壁で、普通に跳んでも、向こう側の景色を目に霞めることさえできないことに気づかされた1曲。正直、現状SpotifyでもAppleでも、この曲のパワーを広く世の中に届けられた、と思えるほどの成果は出せていません。そんな風に僕が思いながらも聴いてくださる皆さん、心の底からありがとうございます。

他の楽曲をどんどん制作していく中、この曲だけがずっと心の、しかも割と中心でモヤモヤとする日々。夏らしい曲も出したし、秋に出した「Ginger」もSpotifyキッカケで世界中で聴いてもらうこともできた。けれど、それでもなお、僕は「Reason」への想いが強く、2019年の後半はずっと、「悔しい。悔しい。」と思い続けていました。

結果的に2019年があったから僕はSpotifyでひとまずの目標、ミリオンストリーム(100万回再生)を達成できたのですが、その胸中は、完全なる状態で喜べるものではありませんでした。現在120万回以上再生されている「Right」や50万回を超え出した「Cactus」と(まるで不要な)比較をした際に、この曲が劣っているとは思えない。そんな風に思ってしまっている時点で、僕は「Reason」との向き合いを解決できていませんでした。


若きビデオグラファーとの出会い。

楽曲制作が行われている最中に、平成から令和への変化が訪れました。その時、たまたま数年前に後輩から紹介してもらい、インスタで繋がっていた若者が作った映像を見たんです。

なんか、わけもなく、グッときてしまった。
それは、普段CMの現場で感じるそれとはまるで違う、
若さからくる熱量が、ひしひしと伝わった。

Allenくんというビデオグラファーで、歌も自分で歌っている24歳。以前からなんとなく歌を歌っているのを知っていたのですが、この動画を見て、彼が映像作家であることをきちんと認識したのと同時に、直感的に「この人と一緒に映像を作りたい」と思いました。


後輩経由で連絡をしてもらい、2人で会うことに。

自分とほぼ一回り世代が違う、僕からしたらニュージェネレーション。僕もどう話せば無駄に先輩面にならないか(僕はそういうの大嫌いなので 笑)、すごく気を遣いました。その時に、「実は今、こういう楽曲を作っていて・・・」と彼に聴いてもらったのが、「Reason」でした。

彼と一緒に何か作りたいと双方の気持ちが向き合い、彼の監督作品として「Reason」を舞台に自主制作のショートフィルムを作ることに。


最強のボーカリスト、Mayumi Watanabe。

天才としか言いようがない、その歌声。

八景島シーパラダイスのナイトショーである、「LIGHTIA(ライティア)」のテーマ「Love Song」に続いて、この壮大な楽曲を歌い上げてくれた、僕にとって天才、MAYUMIことMayumi Watanabeさん。彼女に主人公を演じてもらい、東京の街で暮らす、まだ何者でもないごく普通の女の子が心の中で描く景色と現実を描きました。


完成してから、ずっと公開できないでいた。

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自主制作な事情もあり、皆の日々の仕事の合間を縫って、そして僕自身のこの楽曲に対する気持ちの整理にも時間がかかり、(長いのか短いのか分からないけれど)企画から完成までに半年の月日を要しました。

2019年の末には既にこの映像は完成していて、それでもずっと、こんなに大切な楽曲をテーマに作ったこの映像を、世の中に公開できないでいた。

逆に、大切な作品だからこそ、中途半端に公開できないでいたのだと思います。僕は基本的に、「今だ!」と感じたことはその場で即決できる性格なのですが、この作品に関してはずっと迷ってばかり。

楽曲は既にリリースされていて、
この作品は商用目的で作っているMVでもなくて、
この映像を作った意味は一体なんなんだろう。

昨年、溢れんばかりの感情だけを頼りにAllenくんやMayumi Watanabeさん、衣装を担当してくれたNoLことMinoru氏に声をかけて作ったこの映像。普段、戦略をリリース前後で色々と考えて楽曲プロモーションも必死に考えて活動していますが、この作品は完全なる例外です。

言い出しっぺとして、参加してくれた皆に、作った作品をいつまでも公開せず、どう向き合えばいいんだろう。そんな風に思いながらも、彼らは嫌な顔一つせず、年末〜年明けからの作品(Lotus, Hello, Not Found 404)にも積極的に関わってくれました。ただただ、仲間たちに感謝です。


公開のきっかけは、Twitterで見つけた投稿。

公開を決めたのは、実は本当に、ごくごく最近。多分、3月の末頃だったと思います。僕も含め、自宅待機を余儀なくされている現在。音楽産業にも大きな痛手になっていて、産業全体が悩み、苦しんでいる状況。

僕も例外ではなく、今年は積極的にライブをする、と言っていた矢先の、この状況。色んなお誘いや、自分自身で計画しているプランも大きく狂っている中、今必要なのはライブを映像で届けることだ!・・・と、恐らくアーティストの方なら今、誰でもやるであろうことを例外なく考えていました。

それでも、この「Reason」の映像だけは、
どうしても簡単には公開したくない。

頑なに、自分の中では、「まだだ。」と言い聞かせていました。全作品愛情を注いで作っているMVやスタジオライブ映像ですが、この映像作品だけは全くの別物なんです、僕にとって。


ー そんな時、Twitterでこんな投稿を見つけました。

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僕自身が、自体がどこに向くか分からない状況に日々、何をすべきか頭を悩ませていた時に、この曲をレコメンドしてくださった方がいたこと。歌詞の中でずっと唱えるかのように歌われる、「Everything happens for a reason.」が、自分自身に跳ね返ってきました。 

見つけたのはこの方が投稿してくださった数日後でした。

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この曲に関わってもらった仲間たちにも知ってもらいたく、すぐにタグをつけてシェアさせていただきました。そして、投稿して数分もしないうちに、

「あ。そうだ。今だ。今しかない。」

と、自分の気持ちに完全に腹落ちしたんです。やっと、「Reason」という楽曲をもっと多く人の耳に、心に届けたい、という気持ちから、「Reason」という曲が、今、誰かの気持ちを癒し、鼓舞できるかもしれない。と、直感的に筋が通ったのです。背中を押してくれたのは、顔も名前も知らない、僕の曲を聴いてくださった方でした。本当に有難うございました。


・・・そして、さらに、数奇的なお話を。

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これは、今まさに、noteを書きながら僕のHDDの中から「Reason」フォルダを探し出し、一番最初のセッションファイルを確認したものです。その最初の日は、僕がツイートを見つけ、投稿した日のちょうど1年前。

・・・書きながらゾクッとしつつ、
僕にとっては「やっぱりそうか」と思えます。

大げさかもしれませんが、僕が音楽を発信していく上で・・・否、訂正します。人生で一番大切にしているのは、「偶然と思いがちな縁」の部分です。

特にこの曲に関しては、この作品を通じて生まれた縁が山ほどあります。そんな数奇な縁が重なってできた楽曲が、脈々と僕たち仲間同士の人間関係や、新たな作品として芽吹いていくれていること、とても嬉しく思います。

直感的に意思決定して、今しかない。と思って公開を決意した僕を、「偶然と思いがちな、でもきっと必ず理由がある色々な出来事」が、後押ししてくれてやまない。それが、今僕が感じる素直な気持ちです。


公開に向けて。

この映像には、より多くの方に、僕らが作品に込めたメッセージが伝わるよう、SAYUKIさんが書いてくれた元々の英詞と共に、僕が今、公開を決めた状態の感情で日本語に意訳した言葉を字幕で載せています。

Reason

If I only have a few weeks to live
もし、自分の命が、あと数日ほどで
or only a few days left of my life
消えてしまうとしたら

what will I think ? What will I do,
何を思うだろう。何をするだろう。
until I reach the end of my time
その最期を、どう迎えるだろう。

I close my eyes, open my heart
まぶたを閉じて 心に問いかける。
Just wanna feel reality
そうか、これが現実なのか。

I kiss the sun, listen to the moon
太陽を見上げ、月に聞いてみる。
(to) feel that I’m here and alive
どうして私は、こんな時代に生まれたの?

Everything happens for a reason
全てに、理由がある。
Everything happens for a reason
ほんの些細な出来事にさえも
Everything happens for a reason
全てに、理由がある。
Everything happens for a reason
たとえ今は、わからなくても

Joy,
that’s the reason why I’ll be a part of Sound,
この広い、広い世界の一員として
that’s the reason why I will always Smile,
いつでも笑顔で生きていきたい。
that’s the reason why I will live with Love,
胸いっぱいの愛をいだいて
That’s the reason why for this moment.
どんな時でも、希望は捨てない。

If I wasn’t here, in front of you,
もし私があなたの前にいなければ
where would I be in this world?
この世界のどこに、居場所があるだろう。

What should I hold, what should I let go?
何を残して、何を手放すべき?
I’m alright with nothing but you
決まってる。あなたがいれば、それでいい。

Everything happens for a reason
全てに、理由がある。
Everything happens for a reason
打ち砕けそうな出来事にも
Everything happens for a reason
全てに、意味がある。

Joy,
that’s the reason why I’ll be a part of Sound,
この広い広い世界をひとつにする
that’s the reason why I will always Smile,
私たち、みんなが生まれ持った 心からの笑顔
that’s the reason why I will live with Love,
どんなに小さな灯火でも 消えることのない、愛。
That’s the reason why for this moment.
その全てを注いで これからも、生きていく。

Everything happens for a reason
全てに、理由がある。
Everything happens for a reason
全ては、次に進むため。

この意訳は、つい数日前に一気に書き上げたものです。

ずっと、日本人の方々にもこの映像で伝えたいことを明確に伝えたいと、日本語訳を載せようとはしていたものの、これまた不思議なもので、ちっともその作業に向き合うことができませんでした。それが、いざ公開を決意した時、自然とスラスラと、誰かに導かれるように、自分で幾度となく聴いてきた歌詞に日本語が乗り始めました。

そして思いました。やっぱり今か、と。

楽曲と映像に関わった関係者の人たちにも共有しながら、公開日である4月5日(日)のタイミングギリギリまで、調整をしています。だいたい、いつも僕は直感的に今だ!と思ったら、急に動き出します。(みんなごめん)

サブスクで楽曲をリリースしていると、再生回数とか、楽曲の認知度がマネタイズに直接跳ね返ってきてしまう分、どうしてもプロデューサー視点、プロモーション視点でどう広げるかということを考えてしまいがちです。

でも今回は、気持ちの面で今、この作品そのものが誰かの何かになれたらいいな。僕が、見知らぬ方の1投稿で勇気付けられたことと同じ感情を、届ける誰かと共有できたらいいな。と素直に思います。


最後に。

作品で僕らの気持ちは充分に語り尽くしたつもりですが、この作品においては、僕らの作風や作品にかける想いより、1人でも多くの方の「何か」になれるキッカケになって欲しくて、作品に乗せた想いを書いてみました。

最初は1,000字くらいにしようと思ったのに、結局いつも通り5,000字をゆうに越えましたね(笑)前置きが長すぎてごめんなさい。よかったら、「Reason」、ご覧ください。



何かを感じていただけたら是非、
この動画を大切などなたかに届けてください。
読んでいただき、有難うございました。


2020/4/5
Kotaro Saito / 齊藤 耕太郎







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