10kgの文化を持ち歩く①

インターネットの効能と副作用は、それは昔、デスクトップの青色が目に痛かった時代から変わっていないように思える。ただ昨今、スマホのロック画面が随分とチカチカしない柄になったように、それら効能と副作用は気づかぬうちにすっと体に馴染むようになった気がする。

違和感に気付いたのは数ヶ月前のことで、YouTubeのコメントをぼんやり眺めていたときだった。「ずっと前からよく聞くすごく好きな曲だったんですけど、初めてフルで聞けました!タイトルも探してたので助かります!」という旨の恐らく10代の投稿。流行りの短い動画の中でBGMとして使用されている曲に触れる内容であったがそこまで目新しい類のコメントではない…。はずだった。

ほぼ知らないも同然の曲を好きと言えるのか!!??

今回も危うく何の引っかかりもなく流し見で済ませてしまうところだったが、一度気になると記憶に残る。曲をかき、楽器を演奏することを仕事としている私にはカルチャーショックが大きいと感じつつも、投稿者のもつ価値観にはなんら違和感がない。つまり、接触の機会が少なくても受け止めた満足感がある、いわば「噛まずに飲み込める」刺激が前より増えたのだろうと自分の中に結論をつけた。コロナの影響は大きい。外出も面と向かっての会話も駄目といわれている中で、深追いせずとも享受できる娯楽が、自らの青春を取り上げられそうだった若い世代の支えになったのは想像できる。

ここまでこれほど「噛まずに飲み込める」刺激の話をしてきたが、その逆、情報の処理に時間のかかる消化に悪い刺激、ここでの通称「マシマシ」にタイヤをつけて転がし歩いているのが私であるのだ。

(後半に続きます。もう少しおつきあいください。)

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