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8月最後の音楽

中高生の頃からblack musicが好きで、未だに夜中にふと思い立ち、永遠に曲をディグってしまう。
20代の頃は仲間とDJイベントを立ち上げて、仕事の合間に集まっては、東北のクラブで朝までいい曲を流し続けた。

その頃も今も、Curtis Mayfield の「Tripping Out」やDonny Hathawayの「What's Going On」が大好きだ。

音楽は僕にとって最強のバディでもある。

仕事が思い通りに進まなくて落ち込んでいる時にかける曲、アイデアを捻り出したい時の曲、大事なプレゼンの前に聴く曲と、シーン合わせたお決まりのプレイリストがある。
それはまるで、現実世界と頭の中をチューニングするための儀式のようでもある。

音楽の起源は諸説あるらしいが、病いや老い、天災、労働など、日々の暮らしの苦しみを和らげ、神仏に祈り、さまざまな思いを伝え、交わるための行為として始まったとも言われている。

要するに、自然の威力や不可逆な時間など、人智を超えたものごととの折り合いをつけるために生まれたのだろう。

先日、友人が営む酒蔵にお邪魔する機会があった。そこで教えてもらったのだが、酒造りにはその蔵独自の酒唄があり、麹を混ぜるときに必ず蔵人たちで歌うそうだ。
酒唄の何小節まで歌えば100回混ぜて、全部歌い切ったら200回混ぜるという調子で、ある意味、酒造りの重要なレシピのひとつとなっている。
神のなす術とされていた、酒造りの歴史を感じさせるエピソードだった。

建築の世界でも、地鎮祭や上棟祭など神に祈りを捧げる儀式には、祝詞(のりと)と呼ばれる独特の音調とリズムの声明がある。
ともあれ、音楽は時代を超えて人の生活に寄り添い続けていて、そんな音楽が僕は好きだ。

晴れた今日は、8月最後の週末。
さて、どんな曲をかけようか。

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