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「虫のことはなんでも聞いてください」

最近、山で出会ったおじいちゃんと話していたら、
うつむきながら小さな声で、「虫のことはなんでも聞いてください」と話し始めた。
少し間をおいて、「蝶が好きで、気付いたら50年間も追っかけていました」と続いて、
「特に好きなのがチョウセンシジミ蝶で、今、彼らが生息できる場所をつくっています」と。

森林保安の仕事を定年まで続け、今は、蝶が生息するトネリコの植樹をしているそうだ。
岩手、山形、秋田に生息するチョウセンシジミ蝶は年々減っており、絶滅危惧種らしい。
蝶が生息しやすい川辺に木々を植え、もともとあった生態系に近づけようとしているのだ。
蝶が、「昨年植えたトネリコに寄生して孵化した」と目をキラキラさせながら話してくれた。

僕はその蝶のことを知らないが、その蝶を知りたくなったのと同時に、彼のことを好きになった。
年を重ねても、あんなに自分に素直になれるのってすばらしい。
山の先輩から勇気を頂きました。

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