見出し画像

雑記#2 水のグランドトライン 

こんばんは。

私はサビアネリ研究員。
今日はとある人物のネイタルチャートに際立つ、とあるグランドトラインについて考察する。

このグランドトラインは、水のサインの後半度数で形成されている。
以下にその度数にある天体とサビアンシンボルを羅列しよう。

火星 蟹座28度
A modern Pocahontas.
「現代のポカホンタス」

水星 蠍座29度
An Indian squaw pleading to the chief for the lives of her children.
「酋長に子どもの命乞いをするインディアンの女」

IC 魚座30度
The Great Stone Face.
「巨大な石の顔」

以上、それはもう愉快な大三角形を描いているのである。

水のグランドトラインは、一般的に水のエレメントの持つ性質を調和的に強調すると言われている。

水のエレメントはユングの提唱した四つの心理的機能「直感・感覚・思考・感情」のうち、感情を司る。
つまり、人の持つ感情面での性質を優しく強調するというわけだ。

感情とは何か?

私たちの経験するあらゆる主観的質感(クオリア)のうち、最も表現しにくい現象の一つであろう。

一方で、怒りや悲しみ、朗らかな気持ち、楽しさ、親しみや好意、興奮、何かを根に持つこと、干したばかりの気持ち良いお布団で眠る時のあのえも言われぬハッピーな感じとか、この世界にあまねく存在する最も一般的な現象とも言える。


科学的な見地に立てば、これら人の感情と呼ばれるものは、ホモ・サピエンスと呼ばれる種の、主に脳の反応によって起こる。
DNAという神の手は、進化の過程で、なぜかこの感情と呼ばれる機能を淘汰することなく、現代まで残し続けることを選んだ。
要するに種の存続に感情が必要だったのである。

感情が人間という種の存続と個体の生存に必要だということがわかる例として、「好意」というものがあげられるのではないだろうか。

人は集団で生活する生物である。
集団からはみ出た個体はことごとく淘汰されてきた。

幾世代かにわたって生きながらえた者たちも、拡大し、より強力になった集団に属する人間たちに吸収されるか抹消されるかしてしまい、今やこれである(サビアネリ研究員は窓の外の街の喧騒に目を向ける)。

集団を維持するためには、個体同士がお互いを継続的に評価し合う必要がある。かねてよりその評価には「好意」という感情バロメーターが使われてきた。

例えば、下心を丸出しにして女性社員の体型について言及するような鼻息の荒い個体は集団にとって危険な存在である可能性が高い。理由をあえて言及する必要すらないだろう。とにかく、この一例を見てわかるように、好意(あるいは敵意や嫌悪感など)と呼ばれる感情は、我々人間という種にとって不可欠な存在なのである。

他にも、恐怖や思いやりの情など、人間にとって感情が重要であることを裏づける事例を挙げていけばきりがない。本当にきりがない。

この感情を司るサインが水のエレメントを持つ、蟹座、蠍座、魚座なのである。


それでは、水のグランドトラインを持つ人物には一体どのような特徴が見られるのだろうか。

言わずもがな、ここにはその特徴を全て書き上げることは不可能だ。
したがって、本題に戻り、この記事では先に羅列したサビアンシンボルについて簡単に触れつつ、ほんの一例を物語調に紹介してみたいと思う。

今回のケーススタディの素材として利用させていただく人物を、キティと呼ぶことにする。

キティはお友達のスウィーティー、パピー、ベイビーAとベイビーB、そしてベイビーCの6人でボール遊びをしていました。

ボールを投げ合い、キャッチし、落としたら負け。という遊びです。
しかし、相手が取りづらいように投げてはいけません。
優しく投げる遊びなのです。

スウィーティーからキティへ、キティからベイビーAへ、ベイビーAからベイビーCへ、ベイビーCからまたベイビーAへ、ベイビーAから今度はパピーへというふうに、ボールが飛び交っています。

飛び交うボールと一緒に、楽しそうな笑い声が聞こえます。

と、パピーの投げたボールが強すぎたためか、スウィーティーが取り損なってしまいました。

スウィーティーが怒ります。

「おい!てめえ!優しく投げんかい!」

楽しそうにしていたパピーも急に眉間にしわを寄せ言い放ちました。

「それくらい取らんかい!」

すると、それを見ていたベイビーAは言い放ちました。

「掟を破ったのは、パピー、お前だ。どう落とし前つけてくれるんだ?」

ベイビーBとCも言います。

「優しく投げるという掟を破ればこの遊びは成立しなくなる」
「そうだ。これをよしとしてはならんのだよ」

三人が味方をしてくれたことをいいことにスウィーティーが、語気を荒げて言います。

「謝れい!!」

パピーも譲りません。

「このまま優しく投げ続けておれば、日が暮れてしまうわ!取り損じておいてなんじゃその言い分は!」

スウィーティー、ベイビーA、B、Cの三人が怒鳴り散らかします。

すると突然、シンボルの描かれた三つのお札を携えたキティが、皆の前に出ました。

そして、そのお札のひとつをばっと皆んなに見せてこう言いました。
そのお札には「火星 蟹座28度 現代のポカホンタス」が描かれています。

「このまま優しく投げ合っていても楽しくないし、あたいはパピーが強めに投げたのは、ありだと思うわ」

スウィーティーとベイビーA、B、Cは、「なにい!!」と顔を真っ赤にしています。

するとキティは二つ目のお札を見せ、言いました。
そのお札には「水星 蠍座24度 酋長に子どもの命乞いをするインディアンの女」が描かれています。

「たしかに、スウィーティーたちが言うように掟を破ったのは良くない。でもパピーも刺激が足りなくてちょっと強くやりすぎただけ。許してあげてよ」

スウィーティーは言いました。
「なら謝れい!!」

キティは三つ目のお札を見せ、言いました。
そのお札には「IC 魚座30度 巨大な石の顔」が描かれています。

「謝れだって、パピー。あたいはどっちでもいいよ。あたいはとにかく、皆んなにでかい声を出してほしくないの。そして眉間にしわを寄せてほしくないの。おねがい」

それを聞いたみんなは、笑い出し、また楽しく遊び始めました。

おしまい。

このお話に教訓があるとすれば、こういうことだろう。

流るる水は腐らず。
勇気を出して、水をぶんぶん巡らして起伏の激しい流れを生み出せ!
平常心でそれができれば、水のグランドトラインを制する日も近いかもしれない。

それでは、来る楽しい水星逆行シーズンをお迎えください。

ご機嫌よう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?