Ko Tanaka

作曲家。1991年生まれ佐賀県出身。 バークリー音楽大学 コンテンポラリーライティング…

Ko Tanaka

作曲家。1991年生まれ佐賀県出身。 バークリー音楽大学 コンテンポラリーライティング&プロダクション専攻2020年卒 米ブロードウェイ業界で活動中。 全米演劇著作者組合(Dramatists Guild of America)正会員。

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  • 現役バークリー音大生が学んだ知識を惜しげも無く公開する

最近の記事

音大生がよく言う『音楽は死んだ』なるもの

それはもう何十年も前から先輩方が言い続けている文化みたいなものです。 ”象牙の塔”なる言葉がありまして、これはアカデミックの領域(=必ずしも日常に直接利益を及ぼすか分からない、行き過ぎなまでの学術的な世界)に閉ざし込んだ大学の比喩表現です。下界とかけ離れた、みたいなイメージ。そんな象牙の塔の中に毎日暮らす学生にこのような疑問が現れるのはもう至極当然。 ちなみにこれ系のギモン、卒業してプロ活動をするうちに段々と消え去るか折り合いがつくようになり、次にこんなことを思い始めるタ

    • ”商業”と”アート” 20代後半編

      前編では進路編ということで書きました。商業には飛び込まない限りわからない世界があるよという話。僕にも経験ありますが、オーケストラ音楽を仕事で作る時に1st ヴァイオリン、2nd ヴァイオリン、ヴィオラ・・・って分けてたら「いやいやそんなことしなくていいからさ、”ストリングスアンサンブル”の音色でばばっと2時間くらいでやっちゃってよ!」なんて言われて「えー!」みたいな。そんな環境の中で少しずつ機材の操作も速くなって、音もイッパシのMixができるようになってきて、少しずつ「せめて

      • ”商業”と”アート” 進路編

        ちかごろいろんな人からこの二つについて相談されます。先日も電話でとある人に相談を受けたので、今回少し考えをまとめます。 音楽をやっている人にとっては、そして今現役で音楽を学んでいる人にとっては、切っても切り離せない問題ではないでしょうか。とてもよくわかります。 美術界では”デザイン”と”ファイン”と言う言い方もします。 ”クリエイター”と”アーティスト”という言い方もできますね。 僕自身はというと、まず日本の4年制専門学校を卒業してそのまま商業音楽の世界でプロへ、その

        • 与太話:ゲーム音楽とブロードウェイ・ディズニーソングの共通点

          AABAタイプのソングの話をしていましたが、ここから先はおまけの話。 ゲーム音楽っていいですよね。キャッチーだしいつまで経っても覚えてるし。なによりもストーリーに沿って流れるのがいい。ディズニー音楽やミュージカルもそうですよね。どちらにも言えることは”その物語の流れを”音楽と歌詞”で見事に表現しているところです。その職人技を見るのが、いつも好きなんです。劇伴の技法にも言えますね。 この”ストーリーに付随した音楽”という点で共通している”ゲーム音楽とブロードウェイ・ディズニ

        音大生がよく言う『音楽は死んだ』なるもの

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          AABA形式とサビ形式の意外な秘密 2/3

          はい今回も先に結論ピクチャー貼ります。どん!!!みんな忙しいからね! ABサビとAABAの正しい見分け方 Wow-----なるほどーーこれが違いカァ。今日もよく勉強しました。解散! どうでもいいですけど音楽はこういう”なんだそんなことか”的なトピックに限って超重要だったりします。強拍弱拍とか・・・いろいろ・・・なにごとも勉強になるので。それをきちんと理解すると全く新しい景色が見えたりします。たまに。 用語の統一おさらい。前回は「ABサビ」と「AABA」の違いを知りまし

          AABA形式とサビ形式の意外な秘密 2/3

          AABA形式とサビ形式の意外な秘密 1/3

          はーい結論から言いまーす。 どん。 はいまとめまーす。 いやー今日も学びましたね。おしまいです。時間節約バンザイ!よかったよかった! では説明していきます。 どうして歌物作曲が得意な人と、そうでない人がいるのか?それは慣れ親しんだ形式の違いがあるからです。歌には(当たり前のように)Aメロセクション、Bメロセクション、そしてサビがあります。今の日本の音楽は大半がこのタイプですね。 でも、そうじゃない歌もあります。「上を向いて歩こうってどんなメロディだっけ?」と聞かれて

          AABA形式とサビ形式の意外な秘密 1/3

          作曲:泣けるメロディを「リズム」で作る 前編3/3

          バークリー音楽大学で学んだ知識を惜しげも無く公開していくノート第三弾 Something Missing = 答えを探している状態前回はフレーザル・バランスについてお話しました。このような、うまく作られた「予定調和」を利用して 「もう一回あると思ったら無かった!(Something Missing)」という状態を作り出すと 「何かが足りない・・・なんか切ない」そんな気持ちを(簡単に)作り出すことができます。それは、自分の期待していた要素が訪れないことで何かが抜け落ち、何かを

          作曲:泣けるメロディを「リズム」で作る 前編3/3

          作曲:泣けるメロディを「リズム」で作る 前編2/3

          バークリー音楽大学で学んだ知識を惜しげも無く公開していくノート第二弾 音楽的アンバランス前回はPassengerのLet Her Goを見ました。もう一つ洋楽をいきましょう。この曲では音楽的アンバランスを見ていきます。音楽的不安定というと、ドミナントやら、テンションやら思いつきますが、ここではシンプルに小節の数を見てみましょう。 (1:14から) Your body is a wonderland Your body is a wonder (I'll use my h

          作曲:泣けるメロディを「リズム」で作る 前編2/3

          作曲:泣けるメロディを「リズム」で作る 前編1/3

          バークリー音楽大学で学んだ知識を惜しげも無く公開していくノート第一弾 切なさの作り方こんにちはKoです。ここでは、僕が学校で学んだ作曲・作詞のテクニック、良いと思った知識を惜しげもなく公開していきます。今回のテクはバークリーSongwriting科の設立者Pat Pattison先生秘伝の切なさテクニックです。 Pat先生は「選択肢の数はクリエイティビティの数」といいます。選択肢は、歌詞を書くごとに訪れるすべてのセクション、メロディを書くために訪れる全ての小節に隠れていま

          作曲:泣けるメロディを「リズム」で作る 前編1/3