何も知らない学部生だからこそ、研究を始めよう
学部2年生から現在まで2年間、研究活動をしてきた。研究テーマは「学習状況の分析」である。研究に関する詳しいことはまたの機会に書きたいと思う。
2年間の研究活動で得られた学びを書くとともに、学部生から研究活動を始めるメリットを主張していきたい。
学部2年生から研究の世界に飛び込む
きっかけは、学部1年生の7月に遡る。
高校生時代にデータ分析を通して文化祭の課題を見つけて改善した経験から、大学でもデータ分析で何かやってみたいと考えていた。ついでにAIを使った分析も興味あったので、W先生にお話を伺った。
どんな話をしたのか、今となっては忘れてしまった。
ただ、話が盛り上がったのか、W先生に研究費でデータ分析に関する書籍をお借りして少し勉強したことは覚えている。
また、様々な研究分野を持つ先生たちがオムニバス形式でそれぞれの専門分野を紹介するという講義があり、とあるコマでは「データ分析で未来を予測する」というテーマだった。
そこで、決定木分析を用いてお弁当売上を予測する演習をやったのだが、結果は奮わず。その理由に『過学習効果』の影響があったということを学んだ時に、改めてデータ分析の面白さを知れたことも大きかった。
そして、春休みに改めてW先生とお話しし、2年生から研究活動を始めることになった。
学部3年生まで2年間で得られた学び
なんやかんやで、授業やサークル、サッカー、ボランティア活動などと両立しながら2年間研究活動を続けてきた。
そこで得られた学びは3つある。
考えたことや疑問は小さなことでも、ちゃんと文字に残す
「研究はテーマが9割」を肌感覚で実感できた
研究って面白い!
この3つの学びを1つずつ詳しく述べていく。
考えたことや疑問は小さなことでも、ちゃんと文字に残す
文字に残したおかげで何か出来た結果から学べたというわけではない。文字に残さなかったせいで様々な失敗をしたという結果から学べた。
特に大きな失敗として、発表および論文執筆に向けた準備の不足というものがある。
僕が所属している筑波技術大学では、研究活動を単位として取得できる研究プロジェクトという講義が開講されている。その講義で、研究活動の発表を半期(5ヶ月間)で2回行う。
半期で2回発表するので、研究活動を進めながら発表の素材も準備していく必要がある。
その素材は目に見える形、つまり文字や図表に残しておかないといけない。
しかし、自分の脳内メモやパソコンにあるデータ分析結果だけに頼りに発表の準備をしてきた。
その結果は言うまでもなく、見落としていた明らかなミスを指摘される、発表準備がうまくいかない、他人に伝わる説明ができていない、などの問題が起きた。
挙句の果てには、論文執筆をする時に「なんでこの分析手法を使ったんだ?」「この分析結果はどう解釈するんだ?」と自分がやってきたはずのことを書けなくて、とても苦労した。
そういう経験を通して、研究活動で考えたことや疑問は小さなことでも、常にメモして残すことが大事であると学べた。
「研究はテーマが9割である」を肌感覚で実感できた
「研究はテーマが9割である」という言葉は大学1年生の時から知っていた。
しかし、なぜ「研究はテーマが9割である」と言われているのかを、理解出来ていなかった。
今となっては、肌感覚としてすごく分かると感じる。
僕の研究テーマは「学習状況の分析」であると述べた。実は学習状況といっても様々ある。
クラス全体の学習状況なのか?個人の学習状況なのか?
更に言うと、対面授業なのか?オンライン授業なのか?
更に更に言うと、一斉進行授業なのか?自己調整学習なのか?
更に更に更に言うと、学習状況とは学習進捗度ですか?理解度ですか?
更に更に更に更に言うと・・・(以降無限ループ)
そこまで考えないと、研究はうまくいかないのだ。
対面授業とオンライン授業では、学習データの取得方法、学習者が得る情報と得る手段、学習心理、などなどが全く異なる。
そこを考慮できていないと、不適切なデータを収集してしまうし、不適切な分析手法を採ってしまう。
逆に言えば、研究テーマをしっかりと設定できると結果は必ず出る。望む成果が出るかはまた別のお話ではあるが。
そうしたことを研究活動を通して学べたのは、とても大きかった。
研究って面白い!
そのまんまの意味で、面白いということを学べた。
研究は地味で辛いもの、というイメージがある。それは半分正解半分不正解。
確かに研究は考えることもやるべきことも勉強することもたくさんある。しかし、続けていくと新たな知見を得られる。
知見を得られた時の面白さは格別である。
学部生から研究活動を始めるメリット
学部2年生から研究活動を始めた僕は、「何も知らない?だったら研究しようよ!」と言いたい。
学部生から研究活動を始めるメリットは以下の3点だ。
卒業研究に向けてアドバンテージを得られる
院進という進路を現実的に考えられる
無知が許される
メリット3つについて詳しく述べる。
卒業研究に向けてアドバンテージを得られる
一般的には、卒業研究という形で学部4年生から研究活動を始める人が多い。
当然ながら、初めての研究活動なので手探りで研究を進めることが多いと思う。最初は分からない事だらけである。
そこで、つまづかないでスタートダッシュを切れるかが最初の関門となる。
この点について、早く研究活動を始めた人は卒業研究でも同じテーマで研究続けられるので、スタートダッシュを切れる。
仮に運悪くそれまで所属していた研究室に行けなかった場合でも、研究テーマ設定のやり方は身についているので、スタートダッシュを切れる可能性は高いと考えている。
もちろん研究活動中でも、ある程度の知識と経験があるので考えられる範囲も幅広くなる。
また、研究の面白さを知っているのでモチベーション維持がしやすいというメリットも考えられる。
院進という進路を現実的に考えられる
卒業研究で「研究って面白い!」と感じられるのは素晴らしいことである。
しかし、1つ残念なこともある。それは、卒業してすぐ院進という進路は断たれているということだ。
大学院入試は大体夏頃には終わることが多い。更に言うと、希望する研究室の先生と面談や研究計画書の作成などで数ヶ月の準備時間が必要である。
つまり、遅くとも3年生の春休みまでには院進を決めないといけない。
卒業研究で研究の面白さに気づいてからだと、間に合わないのだ。
その点、研究の面白さを早く気づいた人は、院進に向けて十分な準備時間を得られる。
僕自身、院進を決めたのは学部3年生の秋でギリギリだった。
きっかけは、やはり研究活動を通して研究の面白さに気づいたからである。
もちろん大学院には行かないという選択肢もあるが、進路の選択肢は幅広い方が良いと思っている。
無知が許される
はじめに断っておくが、無知のままでいていいというわけではない。研究活動をする上で、自主的に調べたり勉強したりする必要はある。
しかし、学部1年生から専門知識を身についていることを期待するのは無理がある話というのは指導教員も分かっている。
だからこそ、優しい指導教員は積極的にアドバイスをくださる。
研究の第一線にいる大学の先生が自分の研究について積極的にアドバイスしてくださる環境なんて、そうそうあるものではない。
なおさら、学部生のうちに指導を受けられること自体がすごいことである。
指導してくださったW先生も無知の僕に、研究のアドバイスと勉強したほうがいいことをたくさん教えてくださった。
おかげで、たくさんのことを学べることができた。
更に言うと、学部3年生までは研究活動に変なプレッシャーがない。
卒業研究や修論の場合、一定の結果を出せないと卒業(修業)できない。それで研究活動にプレッシャーがかかることもあるだろう。故に無知だと許されない。
しかし、学部3年生までなら結果は出せなくても何かしらの不利益は受けない。ある程度は無知でもいいのだ。
あなたも研究を始めてみよう
学部生だからこそ研究を始めようと題しまして、2年間の研究活動を通して得た学びとメリットを書きました。
この記事で研究活動に興味持った方。あなたも研究を始めてみよう!
ということで、この記事を締めくくります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
余談
Q. 研究発表で最悪なことは?
A. 「素人質問で恐縮ですが」が来ることよりも、そもそも質問がないこと。
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