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2023共通テスト(英語)の第6問は悪問なのか?

Twitterにて、以下の一連の流れを発見。
百聞は一見にしかず、ということで、
気になったので解いてみました。

悪問とされた、48番と49番

【結論】
僕はどちらの問題も悪問だとは思いませんでした。
明確な理由をもって、他の選択肢を消すことができると思いました。

48番について

まずは48番から見ていきます。

問4 Which is the best statement for the final slide?

明らかに間違いでしょ、という選択肢から消していきます。

②Tardigrades are from space and...
この時点で違いますね。宇宙から来たわけではありません。クマムシは地球上の生命体です。

③Tardigrades are, without a doubt, the toughest creatures on earth. 
They can survive on the top of mountains; at the...
「山の頂上」、「海の底」、「温泉」
具体例が細かいこの時点で、final slideには適さないな、と判断しました。
(この辺りは、実生活でのプレゼン経験の有無も関係してくるように思いました)

ちなみに、絶対的に違うのは最後の部分。

and they can also thrive on the moon.

「spaceで生き残ったやつがいた」と書かれてはいましたが、「moonでは生死を確認できていない」との言及があるため、明らかに✖️ですね。

ややこしいのは①と④。
ほとんど同じことが書かれているので、これが悪問とされた原因なのかなぁと。

①For thousands of years, tardigrades have survived some of the harshest 
conditions on earth and in space. They will live longer than humankind.

④Tardigrades have survived some of the harshest conditions on earth, and at least one trip into space. This remarkable creature might outlive the human 
species.

2点違いがありますね。

1. For thousands of yearと期間に関する言及が①のみにある点

2.spaceでsurvivedしてきた、とする①と、少なくとも1回のtripはしている、との言及に留まる②

まず1.について。
クマムシがon earthでsurvivedしてきたのはもっっっと長い期間です。
thousands of yearどころではありません。
本文にはsome 540 million yearsとあります。

また、その期間in spaceでもsurvivedしたとするのは明らかに言い過ぎでしょう。

クマムシがspaceに放たれていたのは、10daysに過ぎず、全員生き残ったわけでもありません。68% were still aliveなわけですから、逆に言うと残りの32%は死滅してしまっています。

one trip(1回の旅行)という少し遠慮がちな、余白を残した言い方がピッタリなのではないでしょうか。

ということで、疑いようもなく④が正解です。

49番について

問5 What can be inferred about sending tardigrades into space?

推測問題です。

①Finding out whether the tardigrades can survive in space was never 
thought be important.

neverを使っている時点で候補から外して良い気もしますが、本文には「spaceに放たれたクマムシの一部が生き残っているのことにsurprisedした」とあることから、この発見は衝撃だったに違いありません。
その実験がなされたこと自体、クマムシの生態に関心がある証拠です。

②Tardigrades, along with other creatures that have been on earth for millions of years, can withstand X-rays and ultraviolet radiation. 

along with〜の句(数百万年前から地球上に存在する他の生物と共に)について推測できる手がかりが皆無です。

③The Israeli researchers did not expect so many tardigrades to survive the 
harsh environment of space.

本文の Israeli spacecraft crashed onto the moon
という箇所から、意図を持ってspaceに放したわけではないことが分かります。
expectどうこうの問題ではありません。
イスラエルではなく、European researchersなら〇ですが。

④The reason why no one has been to see if tardigrades can survive on the
moon's surface attracted the author's attention.

「誰もクマムシを収集しに戻っていないので、moonで未だにクマムシが生きているかどうか知る由がない」ということを、本文中で筆者はwhich is a pityと表現しています。

知れなくて残念だ...
=知りたい!

の裏返しですよね。関心を持っていることが推測できます。

ということで④が正解。

これは果たして英語力なのだろうか...?
と思ってしまう一面も無きにしも非ずですが、④の選択肢なんかは文構造が結構複雑です。

関係副詞のwhyやifの名詞節が入り込んでいることによって主節のSVを見抜くことが若干困難になっています。

構造が取れずに単語をただ当てはめただけでは、曖昧な理解しかできず、その先の「読解力」に繋がっていきません。

推測問題で言うと、推測するための材料が欠けている/推測するためのスタートラインに立てていない、ということになろうかと思います。

センター試験と違うのはズバリこの部分

センター試験では、純粋に英語の知識を問われる問題もありました。

発音・アクセント問題や文法問題がそれに当たります。その一文の意味がたとえ取れなくとも、文法問題のトレーニングを積んできた人であれば、「はいはい、このパターンね」と選択できてしまうものも含んでいました。

何かと槍玉に挙げられる共通テストですが、※「英語力」がある前提で、読解力や論理的思考力(そんなことは本文で言ってない/この2つの情報が与えられているなら〇〇と推測することはできそう)を測ることに成功はしているのではないかと思います。

※ここでいう英語力とは、
高校卒業レベルの単語と文法を元に正しく内容を解釈できる力

ただ、量が多い!
大問3だったかな?お父さんの子どもを喜ばせる的なやつは完全にいらんやろ、と思いました。

大問6のように頭を使わせる要素が少ないのと、内容が知的好奇心を刺激してこなかったですね。まぁこれは完全に主観ですが。

満点者が出ないように問題量をとりあえず確保した感が否めませんでした。

まとめ

・悪問だとは思わない。むしろ、英語力がある前提で、頭を使って考える必要のある、よく練られた問題だと思う。
・ただそうではない、量を稼ぐためだけとも思える大問も確かにある。
・とにもかくにも、結局重要なのは英語力。


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