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ELSAspeakを取り入れたListeningの授業実践

1/19日、木曜日。曇り。
時刻は15時を回ろうとしている。

僕は今新横浜でこのNoteを書き始めている。

夜行バスのトラブルに見舞われながらやってきた横浜。
(車両の一部故障により2時間半ぐらい静岡のSAで足止めをくらった)

縁もゆかりもないこの土地にやってきた目的。
それは聖光学院で、髙木先生のELSAを取り入れた授業を見学させていただくことであった。

去年の11月末、ふと思い立った僕は厚かましくも髙木先生にTwitter経由でコンタクトを取らせていただいた。

教員デビュー前にできる準備はしておきたい、との思いからだった。

快諾してくださった髙木先生には感謝してもしきれない。

この貴重な出来事を、記憶がフレッシュなうちに記録しておきたい。

本日の授業の流れ

①単語テスト10問(範囲は200単語)
・先生が英語を読み上げ、それを聞いて日本語の意味を選ぶ問題形式。
・先生は単語とフレーズの両方を発音。
・4択問題。

〈狙い・意図〉
・聞いてすぐに意味が分かる状態を作りなさい、と普段から指導されている。
・「日本語の意味を書きなさい」だと、「これでも良いですか?」という質問が出てしまい、採点に時間がかかる。

〈感想〉
・これからの英語教育は常に「音」とセットでなければならない、と考えていたのにどうして今まで思いつかなかったのだろう....!
・先生の発音を起点にしてテストが進行していくことで、生徒の解くスピードが一定になるのも無駄な時間がなくて良いなと感じた。

僕が現在出講している塾では、英語の語群が与えられていて空所に適するものを選ぶというスタイルなので、どうしても早く終わる子と照らし合わせに時間がかかる子が出てしまう。これは是非とも真似させていただきたい!

②150wordsほどの音源を聞く
2回聞いてざっくりと意味を推測する。ペアで聞き取れたことをシェアする。

③音源の一部をディクテーション
これは生徒さんからのリクエストだそう。

④ボキャブラリーチェック
先生(英語)→生徒(英語)✖️2
先生(日本語)→生徒(英語)

この時点ですぐに分かった。
「これは相当鍛えられているな」と。

なぜって生徒の英語の発音がとても良い!!

言い淀んだり、止まったりすることがなく、非常にスピーディーにどんどん発音していく姿に驚いた。

⑤語源や派生語の紹介
今回はvitalとdisparityが取り上げられていた。生徒の実生活にも馴染みがあるような、ファッションのリバイバルの話も交えながら。

「おぉー」と驚きの声がダダ漏れな生徒たちのリアクションがとても微笑ましかった。笑

⑥音源のスクリプトを精読
この精読もまた知的好奇心をくすぐられる内容!
ここでいう精読とは、よく言われるような「文構造の把握」に留まらない。本当の意味で内容を「理解」していくのだ。

例えばinequalityとequityはどう違うか?であったり、free trade systemとは何か?を聞いていく。
生徒たちは賢いので、「自由貿易制度」とか「間税がないこと」という答えがすぐに返ってくる。
しかし先生はさらに問いを深めていく。

「間税がかからないと何が良いの?どんなメリットがあるの?逆にデメリットは?」 

応接室で「頭でっかちになって欲しくない」と語ってくださった先生。
単に字面を追って分かった気になるのではなく、読んだものを「教養」に繋げてほしいとの想いがとても伝わってきた。

本当の意味での「精読」を終えたら、ついにELSAの出番である。

⑦ELSAで個々に音読練習
指示があるやいなや、Chrombookやスマホを取り出し音読を始める生徒たち。
自由に教室を回らせていただいたのだが、聞こえてくる生徒たちの発音のキレイなこと!

個々の音だけではなく、抑揚やリズム感なども含めてまさに「英語」であった。
(普段塾で聞いている生徒たちの「英語」とは全然違う...!)

AIが個々にフィードバックを行ってくれている間、先生は教室を歩き回り、生徒とコミュニケーションを取っていく。

「個々の単語がぶつ切りになっているからここからここまでは一気に読もう」
「主語が終わるここで一旦切ってごらん」
等のアドバイスや、生徒からの質問に対応されていた。

ELSAを使うことによって、
個別のフィードバックができるようになったこと
授業内で生徒とコミュニケーションを取れる時間が増えたこと
が大きかったという。

それを聞いて、
「各生徒が正しく発音できているか、20人以上の生徒が集まる授業内でどう確認せぇと?!」
と、塾の特別授業で発音講座を担当した時に感じたモヤモヤを思い出した。

はっきり言って不可能である。
だからといって授業外で一人一人発音チェックをする時間を取るというのも、これまた現実的ではないだろう。

少なくとも現状は、絶対的にELSAが最適解なのである。

⑧自由時間
全文の発音練習を終え、サイトトランスレーションに励む生徒もいれば、何度も同じ箇所を練習し続ける生徒、本文の内容についてネット検索をする生徒、単語を調べる生徒など、さまざまに学びを進めていた。

classroomに今回の内容に関連するTedの動画をアップしているので興味がある子は見るように、という先生からの共有があり、ちょうどチャイムが鳴った。

あっという間だった...!
こんなに50分が短く感じたことに驚いた。

それぐらい、テンポが良く、メリハリがあり、生徒が何をすれば良いか迷うことのない素晴らしい授業だった。

このことについて先生は、「各活動は最大10分と決めているんです」と教えてくださった。
10分以上、同じ活動を続けると飽きてしまうと。

それで思い出したのだが、今の子どもたちはyoutube等の動画コンテンツを1.5倍とか2倍速で見るのが普通だと、どこかで読んだ。
ちんたらした話を長々と聞くことは誰でも嫌なものだが、彼らはより耐えられないのだと思う。

10分という時間制限以外にも、テンポ良く授業が進んでいく理由として、僕は先生の「話し方」に注目した。

一文が非常に短いのである。

「えー」などの、英語でいうところのフィラーもない。
これについては、自分の授業動画を毎回撮って、修正を重ねられたらしい。

これこそまさにプロの姿勢...!かっこいいです。

授業が終わってからもお時間を取っていただき、テストの内容、評価方法、Quizletの活用方法についてもお話を伺うことができた。
(メモ帳がパンパンだぜ)

自身の授業に活かしたいこと、取り組みたいこと

◆やっぱりELSA使いたい!
先生の授業を受けている生徒たちに、ELSAによるトレーニングの成果が出ていることは明らかである。

もちろんただ導入するだけでは、意味がない。どのように使うか?なぜ使うか?ということについて、生徒に納得感を持ってもらわなければならない。
先生が着任後、まず取り組まれたのがこのマインドセットであった。

リスニングができるようになる、とはどういうことなのか?
先生は「音の壁」と「意味の壁」を破ることだとおっしゃっている。
そのために、どういう手法があるのか?

練習するときのダメな例もきちんと示しつつ、丁寧に一つ一つの活動の「目的」を伝えてこられたという。

当然、生徒は「ついていこう」と思うだろう。

僕も自分なりの言葉で活動の意味を伝えられるように準備しておこう。

◆単語テストをやるなら耳から!

◆立体構造スクリプトを作る!
KHシステムという同時通訳トレーニングを元にしたスクリプトの作成方法を教えていただいた。
構造が可視化できて非常に面白い。
以下のサイトが分かりやすいかも?

◆各活動を10分で区切って授業をデザインする!

◆自分の授業を4月から必ず録画するようにする!

◆勤務開始までにリスニングの授業を1コマ分作ってみる!

◆関西で行われている勉強会を調べてみる!

以上。

最後に

実際に教室に入って「体験」した授業からしか学べないことがたくさんあるな、と感じた。
受け入れていただける限りは、これからも積極的に様々な先生方の授業を見学したい。

そしてなんといっても「授業」っておもしろい!!
なんと可能性に溢れたクリエイティブな仕事なんだろう、と思った。

そんな仕事ができる日を心待ちに。
精進します。

髙木先生、この度はお時間をとっていただき、そして快くたくさんのことを教えていただき、
本当にありがとうございました!!

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