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書評 46 「日本国憲法誕生記」

いまの日本国憲法。第二次世界大戦の終戦後、連合国(実質米国)の占領統治下で生まれたことは広く知られています。
しかし、当初は日本側から案を出していたことはどうでしょう。

当時、法制局部長の職にあった著書の回想録として、憲法制定までの過程が綴られています。
単なる日本と連合国の対立ではなく、双方の中でも意見相違を抱えながら、議論は進む。
国民主権の民主主義国家として立ち上がることが、独立国家となるための要件であったため、主義主張を超えて連合国にあたる日本側。
対して、現実路線に向かう者と共産主義に近い思考で容易に妥協しない者が対立する連合国側。
決して単純ではない議論の経過を知ることで、制定に携わった人々にとって変えてはいけない箇所と、制定優先で未来の日本人に委ねた箇所があることがわかる。

なお、よく話題になる9条。「日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」との前文は日本案に拠るのです。

https://honto.jp/netstore/pd-book_01676478.html

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