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書評 201 「怖い絵」

名画と呼ばれる西洋絵画。美術館や画集で見て、美しいとか引き込まれるといった感覚を得る一方、凄惨な画面があったり、何か違和感を感じる絵がある。その様な絵を22枚取り上げて、解説をしてくれるのが本書。

見ているのが辛い様な厳しい画ながら、当時の欧州では違和感の無い場面であったことの解説はさらっと読める。しかし、画面以上に辛い背景があったとか、違和感の裏側には作者による隠された世情の批判、あるいは壊れ抱えた精神の発露があったとの解説には思わず顔を顰めてしまう。

それでも読み進めてしまうのは、ホラー小説を読む感覚に近いものがあるのかもしれないし、単に史実を知ることが好奇心を呼ぶ様にも思える。解説を読んで、各項の冒頭にカラー印刷されている絵を何度も見返してしまう。ただ、文庫版だと絵のサイズが小さいので、見づらいのが勿体無い。

美術にちょっと苦手意識がある人に、新しい楽しみ方を提案してくれる一冊。


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