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書評 206 「砂糖の世界史」

表題からは人間の食文化の歴史、甘いものがどの様に食卓を変えてきたかといった話を期待するが、全く違う。

人間は甘味をカロリーとして本能で欲する。だから対価を払って買う。大量であっても売れる。この前提があって、砂糖が世界商品になっていく過程を記述している。

過程とは主にサトウキビのプランテーションのことで、西欧諸国による中南米とアフリカの植民地化によって形成が加速された。中南米の島々や大陸の土地をバッサバッサと切り拓き、そこにアフリカから奴隷として大量に労働力を注ぎ込んで砂糖を生産したことが繰り返し語られる。西欧人による土地と人の搾取によって潤沢な砂糖が世界に齎されたと。(サトウキビだけに文字通り搾取なのだが)

読み進めていくと、砂糖を食することに罪悪感を感じてしまうのだが、砂糖が悪いのではない。しかし、この様な歴史背景があることは甘さを味わう時に少し思い出した方がいい。そう思わせてくれる一冊。


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