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書評 73 「心配学」

心配していることは、意外と起こらない。まあ大丈夫だろうと思っていると、困ったことになる。どうしてそうなるのか?

そんな疑問を解き明かす著者。その研究を「心配学」と呼ぶ。様々な事例を挙げながら、予想とくい違う理由を解説してくれます。

データを正確に、しかも客観的に読むことの難しさ。それが、心配学の根底にある様です。同じデータでも人によって読み方は変わる。経験を積んだ人ほど、無意識の中に経験則を持っていて、それに合う様にデータを解釈してしまう。発生確率が極めて低くとも、万一起こった時の損害が大きいと、数学的に得られる予測以上に警戒してしまう。人間はコンピューターでは無い。わかっていても、純粋にニュートラルに見ることは難しい。

実際に数値を示した記述が多いのですが、文体が柔らかいので読み易い。科学を普段の生活に活かせる。新書とは本来こういう風に読むものかもしれない。そんなことを思わせてくれる一冊。

https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334038991

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