書評 68 「16歳からのはじめてのゲーム理論」
この本を読んでもゲーム理論に関する知識は増えない。そもそもそれが本書の目的では無いようだ。
生活のあちこちで、人は判断し、行動する。本人にとっては当たり前のことでも、他人には不思議に見えることもある。決めた本人は、なぜそれを選択したのか。その選択、ある人はなぜ違和感を抱くのか。
そうした事象に興味を抱かせることが本書の狙いだろう。人間の判断のステップを読み解く。その方法としてゲーム理論に興味を向かわせる。
ゲーム理論は元々経済学の範疇にある。多数の選択肢がある中で人間は1つを選ぶ。そこには合理性があるはずだ。その合理性を検証するのが始まり。いまでは逆にゲーム理論を選択ツールに使うようにもなっている。
この本には数式はもちろん、ゲーム理論の教科書に出てくるマトリックス表や数字も出てこない。人の無意識の行動を「なぜだろう」と思わせる。科学的関心を引き起こすにはそれで十分だと教えてくれる一冊。
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