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書評 82 「『顔』の進化」

目、鼻、耳、口。それぞれの機能はよくわかる。しかし、それがなぜ集まって「顔」を作っているのか。なかなか難しい問いであるが、その答えを示すところから本書は始まる。一言で言えば生き残るためなのだが、動物の進化に沿って説明する。哺乳類の顔でも、種によって各器官の位置関係は異なるが、それにも進化の中で意味があると著者は言う。人間の顔というか頭部の構造にはコミュニケーションツールとして言語を使える理由があることも説明されている。

次に人間の中で、なぜ顔が異なるのか。人種間の違いには歴史の中でどの様な環境で生存、繁栄してきたかが影響していると解説する。アジア人とヨーロッパ人の簡略模型図で特徴を示す箇所は面白い。

写真、イラスト、簡略図などをうまく使い分け、理解に大いに役立っている。著者が博物館の研究員として、様々な展示企画を手がけた経験が反映されているのかもしれない。

顔の見方が変わるきっかけになる一冊。

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000348838


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