書評 34 「完全な人間を目指さなくてもよい理由」

TVの「ハーバード白熱教室」などで知られるマイケル・サンデル教授の著書。

第1章は1つの実話紹介から始まります。聾者の夫婦が生まれつき聾の子供を持とうと5世代に渡って聾者を持つ精子提供者を探し出す。そして、生まれた子は聾者だった。夫婦は「聾者として豊かな生活を送っていて、その素晴らしい側面を子と分かち合いたい」という。これは正しいのか?

スポーツ選手の能力増強も取り上げる。ドーピングの是非と医学的処置。手術によって視力回復をすることと、サイボーグ化は何が違うのか。高地トレーニングと血液ドーピングはいずれも薬剤を使わずに酸素運搬能力を高めるが、何が違うのか。

著者は自然の摂理、宗教な観点も交えた結論を提示します。

抽象的なテーマの様で、科学が発展した現代では日々目にする数々の事象。単に「好き嫌い」で捉える人が大半ですが、それを「是非」に置き換えるならどう考えるのか。そのきっかけになる一冊。

http://www.nakanishiya.co.jp/book/b134773.html

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