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書評 55 「氷川清話」

明治維新、数少ない幕府側の偉人として知られる勝海舟。西郷との談判で江戸の市民と街を戦禍から守ったことが有名だ。

その勝海舟の維新後の語りを口述筆記の形式で書き連ねたもの。維新前の歴史の背景から、明治政府の要人や政策の評価、移り変わる時代の世相を読み解く。かと言って、理屈立てて解説する訳ではない。非常に達観した、大局を捉えた視点からの言葉が多い。

そして、その語りは江戸言葉。いまでも東京の旧江戸市街の地域で生まれ育った高齢の人たちは使っているが、これは方言である。あまり違和感が無いのは、落語やテレビの時代劇で聞いているからかもしれない。

この講談社版は旧来のものを当時の筆者の操作創作が多々入っていると批判して、多くの史料に当たって検証、洗い直した上に、その過程で見つかった海舟の談話を追加して再編したとのこと。豊富な注釈がそれを物語る。

維新から明治の時代に興味を持つ人に薦めたい一冊。

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000151063

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