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書評 35 「旅はゲストルーム」

建築家の著者が世界各地で泊まったホテルの部屋。その俯瞰図がホテルにまつわる短いエッセイを共に束ねられている。

部屋の俯瞰図の旅日記ならば、妹尾河童の「河童が覗いたヨーロッパ」がよく知られている。その路線と言えばそうなのだが、こちらはプロの建築家が部屋の内部を採寸、詳細調べた上での縮尺再現図になっている。旅日記の中に部屋図、ではなくて部屋の調査と記録が主題だ。

さらに水彩で彩色された図も多く、備品や窓外景色の水彩スケッチも写真とは違った美しさがあります。

その俯瞰図は部屋備え付けのレターシートに書かれており、そのレターヘッドもそのまま印刷されていて、これを眺めるのも面白い。

「宿は寝るところ、なんでもいい」という人は多いが、ドアを開けて足を踏み入れた部屋の様子に楽しみを感じる人も少なくない。採寸まではできなくても、その楽しみの幅を広げるネタ仕入れになる一冊。

https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334783310

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