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書評 57 「勝利の神髄 1928-2016」

長い期間積み上げて来たオリンピアンたちの取材記事。42人の選手と2人の監督・コーチを取り上げています。

帯には「メダリストは発想の宝庫だ!」とある。確かに勝つための工夫や発想の転換が多々紹介されている。しかし、美談は少ない。

期待がかかり、メダルへのものすごい重圧がかかる。しかし、自分の力では難しい。抜きん出ているのは一つの技だけ。世界相手で通用する技術ではない。そのことがわかってしまっている。

それでも懸命にもがく。

「磨いたたった一つの技だけでどうやって勝つか」

「開き直って潰れる覚悟で最初からフルパワー」

「根拠は無くても、自分は強いと心の底から信じる」

「一瞬だけ見えた勝利への光明に懸命に縋り付く」

常識を振り切って、まともじゃない発想を自信を持って貫けるメンタル。その凄さが取材のリアルさを持って描かれています。

それだけにモスクワ五輪辞退の悲劇を抱えた4人の苦しさがくっきりと浮かび上がる。

https://presidentstore.jp/category/BOOKS/005151.html

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