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書評 37 「戦争調査会」

終戦直後、最初の首相となった幣原喜重郎の強い意志により立ち上げられた戦争調査会。日本にとっての第二次世界大戦を客観的に見直すことで新しい日本建設の礎にする、と。短い期間で連合国側から打ち切られたものの、立場や思想の偏重なく、可能な限り広く集められた書面や証言は史料として公表されながら、一般の目にとまることはあまりない。

政治学者である著者はこれを読み解く。新事実の発見は無いが、戦前の日本人には様々な見識、意見があったことが見えてくる。そして、客観的な戦争に至る経緯を示す。あの戦争の是非を問う書では無い。

「開戦は必然ではなかった」「当時の日本は孤立した立場では無かった」「開戦後も対米国戦に至る前に終わらせる機会は何度かあった」

史料を背景にこうした事象が示されていく。日本人が戦争を振り返る際に一読しておいても良い一冊。

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210939


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