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書評 113 「肉体マネジメント」

日本の陸上短距離界を長らくリードされた朝原宣治さんが引退直後に書かれた著書。4×100Mリレーで銀メダルを取った北京オリンピック後に引退を決意。その大会前からレースまでの心境、そして選手歴の時間の中でどうやって練習をしてきたかが著されています。

表題から期待される練習内容の紹介は一部で、技術やトレーニングメソッドにはあまりページ数は割かれていない。大学を卒業し、実業団選手となったところでドイツに陸上留学。そこから始まって、自身の加齢も含めた身体的変化への自覚と経験の積み重ねに基づく速く走るためのテクニックの見直し。これを繰り返す中でトレーニング方法も変えていく。過程でどんな思考があったのか。どうやって自分自身をみつめて、セルフジャッジをしたのか。その心中を丁寧に語っています。

日本の100Mで初めて10秒2を切った男で、初めて10秒1を切った男である著者。その成長の裏が見られる一冊。


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