書評 49 「調理場という戦場」
東京港区三田の名店、コートドール。斉須政雄シェフの暖かみのある、美味しい料理を味わえる。その斉須シェフの料理人の歴史を綴った自叙伝。
いまではお金があればフランスの有名レストランでの研修を斡旋してもらえます。しかし、斉須シェフは自らの行動で、フランスで働くチャンスを掴み取ります。若き斉須青年、働く店の洗い場をいつも綺麗にしていた。技術指導にきた仏人料理人がそれを見ていた。これがきっかけだったそうです。そして、時には「そんなに働くな」と言われるほどの努力で道を切り開く。
コートドールの調理場写真はピカピカを通り越してビカビカです。斉須シェフは手が空いてれば料理長でも掃除するんだと言う。放って置くと料理長がしてしまう職場で働くのは強制される職場よりきつい。ここが斉須シェフの根底とわかります。
そして、ベルナール・パコーとの邂逅とランブロワジーの日々。小説の様な実話が読める一冊です。
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