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書評 217 「波乗り理事長の保育園改革」

宗教法人と社会福祉法人、具体的には寺と保育園。これが併立している例は全国各地にある。本書はそれを世襲して、自分の代にいろいろとトライ、事業規模の拡大を実行した著者の半生記。

保育業界に続く慣行とその問題点を指摘、それをどの様な着眼点で変えてきたか。旧態を変える時にどんな組織にも生じる反発や批判があったが、それをどう乗り越えてきたか。それが語られている。主張の矛盾も散見されるけれど、大きな方向性をよくよく考えて、勇気を持って実行したことが実を結んでいる事例として、なかなか面白い。

世襲によって一定の資金と事業ベースを持つところから始める。それだけに改革への内部反発はあるが、ゼロから始めるよりは恵まれた点もある。前者の大きな例はユニクロやGMO、後者は松下電気産業といったところか。

保育業界の規制制度や現在の行政のスタンスなど業界知識も得られる。

常識を疑って、新しい姿を求める人には事例となる一冊。


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