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書評 164 「変な絵」

キワモノの様だが、ジャンルとしてはホラー寄りのミステリー。登場人物が限られ、徐々にその関係が見えてくるところや、現在と過去の時点の往き来などをうまく使っていて、面白く読める。

著者の特徴であるイラストの織り込みを期待して読み始めたところ、いきなり出てくる。絵から読み解くのが本書のポイントですよ、と言っている様で実は重要な振りになっている。

通常ミステリーは文面で推理に必要な要素を示しながらも、これを見られたら終わりという証拠は気付かれない様に工夫を凝らした表現になっている。その技巧が優れているほど画面で見せてしまう映画化は難しいと言う。そうすると、イラストを使う本作はどうやって見せるのか、と心配になる。しかし、使い方が上手い。場面自体の絵ではなく、ダイイングメッセージの様な使い方とか(そのことは序盤でわかるのでネタバレではないと思う)。

もしかすると今後拡がる新ジャンルになりそうな一冊。


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