ヘッジファンドに分散投資する"MS Star Funds" 組入れファンドの現状(2022年4月末)
1 はじめに
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内容に入る前に簡単にファンドの概略と4月の相場概況をご説明させていただきます。
MS Star Fundsとは?
MS Star Fundsは「ヘッジファンド」そのものではなく、ヘッジファンドに分散投資する「ファンド・オブ・ヘッジファンズ」で、2021年11月に運用を開始しました。
私がファンドの選定/発掘・モニタリングを担当しております(普段ツイートしている内容は主にこのモニタリング業務から得た情報です)。
常時20~40のヘッジファンド(現在24)を、「4つの戦略」にバランスよく振り向け、「長期的に安定的な絶対リターンを追求し、投資家様に貢献する」ことを目的としています。
相場概況(4月)
3月後半にテクニカル主導で急反発した株式市場が、4月に入り米国中心に再び反転下落基調に。
MSCI WorldとS&P 500の月間騰落率は各々▼8%台後半、成長株の構成比率が高いNASDAQ総合指数は▼13%を超える大幅な下落。
米金融政策の正常化(利上げとQT)が加速するとの観測から中長期金利が大幅上昇。
米国債は2年物から10年物まで何れの年限においても最終利回りが月間+40bp~+50bp上昇。
株価のバリュエーションに大な影響を与えるとされる実質金利も大幅に上昇。新型コロナウイルスの感染拡大以降マイナス圏に沈んでいた同10年物金利が約2年ぶりにプラスに。
ゼロコロナ政策を継続する中国は、コロナウイルスの感染再拡大を受け、上海に続き北京でもロックダウンの実施観測が台頭するなど、同国経済の先行懸念が広がったことも市場心理を圧迫。
FRBと日銀が金融政策で真逆の方針を示したことから、日米金利差が一層拡大するとの見方が強まり、20年ぶりとなる1ドル131円台まで円安ドル高が進行。
2 ファンドパフォーマンス(4月)
下落相場の中、経費控除後のネットベースで月間+0.99%の堅調なリターンを獲得しました。
3.戦略別パフォーマンス
前月に続きマクロ/CTA戦略の組み入れファンドが好調を持続しました。
4.パフォーマンスランキング
組み入れ24ファンドの中で4月のベスト3のファンドをご紹介します。
ちなみに星取表は12勝12敗でした。
第1位 +13.1%(マクロ戦略ファンド)
<ファンド詳細>
当ファンド投資開始来の僅か半年で既に+150%程の驚異のリターンを稼ぎ出したマクロ戦略ファンドです。
米国債のベアフラットナーポジションが大きく収益寄与しており、本稿執筆時点(6/20)でも好調を継続中。
著名な金融経済学者でもあるCIOが、彼の知見及びアナリストの調査によりマクロ経済見通しを確立し、頻繁にポジションを変更するアグレッシブな運用スタイル。
20年近く運用実績があり、年間毎のパフォーマンスの差異は大きいですが、設定来年率16.1%のパフォーマンスを実現しています。
第2位 +5.25%(CTA戦略ファンド)
<ファンド詳細>
典型的なトレンド追随型のマネージド・フューチャー運用です。64の先物市場(株式19, 債券15, 短期金利5, 為替8, コモディティ17)を投資対象としており、リスク調整前のユニバースの段階で株式とコモディティの比率が高いのが特徴です。運用モデルは短期から中期の保有期間を想定しており、ボラティリティの予測モデルを取り入れることで、「Early-in & Early-out」を目指します。
単体の先物価格のトレンドのみならず、複数の先物市場間の相対価格のトレンドも売買シグナルのモデルとして取り入れることで、一般的なCTAが苦手とするレンジ相場での収益最大化も狙います。
第3位 +3.30%(債券・裁定戦略ファンド)
<ファンド詳細>
エージェンシーMBS(住宅ローン担保証券)を対象とし、「ストラクチャードMBS投資」(配分70-80%)と「CMO 創出アービトラージ」(配分20-30%)の二つのサブ戦略を運用します。
「ストラクチャードMBS投資」サブ戦略においては、相対価値アプローチによって過小評価されている債権を特定し、主にIO・IIO債(MBSから利払いのみを分離させた派生商品)に投資します。
「CMO 創出アービトラージ」サブ戦略においては、ファンド内でMBSの派生商品を組成した後、PO債(元本部分)は仕入値より高い値段で金融機関等に販売し、 IO・IIO債(金利部分)は主に「ストラクチャードMBS投資」サブ戦略内で運用します。
4月はボラティリティの上昇がマイナス寄与するのは相変わらずですが、キャリーとスプレッドの縮小とカーブのスティープニングが全てプラス寄与となっており、全体でも月間+3%超と久々のまとまったリターンを確保しました。
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5.ヘッジファンド戦略ごとの詳細
5-1 マクロ・CTA戦略
5-2 債券・裁定戦略
【債券裁定ファンド① 4月リターン-0.38%】
米国転換社債市場における相対取引の機会を特定し、株式市場やクレジット市場との相関が低い、優れたリスク調整後リターンの創出を目的とします。また、投資対象の転換社債と関連する上場株式・上場オプション・社債によってヘッジを行います。
米国成長企業による転換社債発行が加速度的に増えている一方、米国転換社債市場は主にロングオンリー投資家やインデックスファンドによって支配されているため、インデックスに入らない企業の転換社債はディスカウントされる傾向にあります。転換社債トレーダーのタレントプールが不足しているため新規参入は限られており、投資機会は当面続くものと思われます。
5-3 株式ロングショート戦略
【株式ロングショートファンド① 4月リターン-4.86%】
米国の中小型株市場に特化して個別銘柄のロング/ショート戦略を手掛けるヘッジファンド。
適宜入れ替えながらも常時300銘柄程度を投資対象のユニバースとして保持しますが、何れの企業も証券会社のアナリストがリサーチ対象としてカバーしていないケースが多く、よって機関投資家が株主リストに少ないことから、株価の非効率性が残存しており、相対的に高い収益性が期待できます。
保有銘柄の平均的な時価総額は、ロングポジションが10~15億ドル程度、ショートポジションが25億~30億ドル程度です。
また平均的な保有銘柄数は、ロングポジションが約40銘柄に対してショートポジションが約55銘柄となっており、ヘッジファンドの基準では十分な銘柄分散が効いています。よって中小型銘柄固有の流動性リスクは減殺されています。
5-4 イベントドリブン(債券)戦略
【債券イベントドリブンファンド① 4月リターン+1.14%】
1997年の設立以来、徹底的なファンダメンタル・リサーチと独自のテクノロジー(クオンツツール)を活用して、債権に特化したレラティブバリュー戦略及びスペシャル・シチュエーション戦略を運用して参りました。どの様なクレジットスプレッド環境下でもリターンを上げることを目標としており、米国を中心に世界中の発行体に投資します。
レラティブバリュー戦略の投資対象は多岐に亘りますが、CIOのバックグラウンドから転換社債に強みを持っています。
スペシャル・シチュエーション戦略においては、ファンドの規模(ファームAUM:約US$52億)を活かして、再建型倒産等のプロセスでリーダーシップを取ることができます。
5-5 イベントドリブン(株式)戦略
【株式イベントドリブンファンド① 4月リターン+1.95%】
当事者間で買収契約が締結済みの合併案件に限定した伝統的なリスクアービトラージ戦略をコアとしたポートフォリオを構築します。但し組入れ対象として欧米の案件を中心にアジアを含むグローバルの案件をカバレッジしています。
投資機会に応じて、合併裁定取引以外の”ハード・カタリスト”銘柄にイベントドリブン戦略として、また破綻申請済みや破綻予備群に属する低格付け企業のクレジットにディストレス戦略として、各々機動的に配分します。
6 おわりに
引き続き厳しい相場環境が続きますが、Twitterではタイムリーな情報提供を継続して参ります。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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