【できるだけ若い人に読んで欲しい本】人間通

これまで読んできた本の中から、ぜひ皆さんに読んで頂きたい本のサマリーを投稿してみたいと思います。

今回は「人間通」という本についてです。
私は社会人になってからこの本に出会いましたが、年齢・年代を問わず、「人間」の特徴を客観視して、自分自身の振る舞いや他の人の言動の背景・特徴を理解する1つの考え方としてとても的を得ている内容が多いと思い、「これを知っていたらあの時もっとこうできたのに、、」と自分自身の人生を振り返って思うところが多くありましたので、できるだけ若い方々にこの本と出会っていただけたらと思った次第です。

それでは、これ以降要約になります。

・人間通
凡人でも構わない。世に尽くす誠意と情熱があれば十分。人の心が分かること。日本人は今心寂しい時代を生きている。武家政権だけだった。この人たちから黙殺され、軽蔑されるのは死ぬより辛い。

・吝
殆どの短所は気働きによって補正できる。
ただ、絶対に矯正できない悪徳がある。それは吝と臆病。貝殻の中に閉じこもっている。連帯感情がない。人の親切が感知出来ない。人間の情を解するセンサーが欠けている。忘恩の徒であり、自分の事だけしか念頭にないエゴイスト。人と人との結びつきを保持してゆく気力がない。孤立して寂しいとも思わぬ冷血の徒。

・恋愛
恋愛は、一時の興奮に過ぎない。結婚においては経緯は問題でなく、1日1日の過程を賢明に生きる心働きに左右される。
恋愛結婚出なくてもいい。

・臆病
矯正できない悪徳。組織の一員として身を処す社会生活に溶け込まない不適応症。頼りない、説得性に欠ける、自己表現の意欲に乏しいから殆どの場合無言になる。
臆病者のスローガンは、相手のご迷惑になってはいけないから。
臆病は一直線に無為へ繋がる。事を托するに相応しくない。自分のことばかり話し、粘っこく愚痴っぽい。
歳を追うごとに増進する。

・自負
面が乾いている。たかだかとした自負心が内にあって、しかも野心と我欲とは吹っ切れている、涼やかな姿勢の気配。野心があって当然であり、否定されるべき悪徳ではないが、厭わしい目で見られる。性行為がまさにそう。
しかし、何事か期するところある鋭鋒の感じ取れぬ人物は軽蔑される。毅然たる自負心は頼もしがられる。しかし、野心と自負は紙一重、見分けがつかない。若年の自負は精気であり、好ましい眺めだが、年齢をけみするにつれて自負は柔らかくほぐしてゆかねばならぬ。自負を責任感へと化けさせる知恵働きが熟年老年に及んで世に許されるための秘訣だろう。

・親友
できるのは20歳前後。入社3年以内。
親友が出来るのは、寂しいという心の渇き、誰かを喜ばせることを好む性向。
親友のある人は、相手の気持ちを察し、阿吽の呼吸がある。

・悪口
悪口は人から嫌われる。他人の美点を認める度量が、人の成長を決定する。
人は他人を警戒しながら生きている。だから、率直だと認められた場合が1番安心される。その為、率直に批判をせねばならない時もある。人の世は絶えざる値踏みの市。正しい指値をする眼力が無ければ世に立てない。

・可愛気
人間の欠点を覆い隠し人から好意を得る性格の急所は可愛気。
人は実績ではなく性格で判断される。
可愛気の次は律気。律気を磨き上げれば可愛気に近づく。

・倫理観
知識はあるに越したことはない。記憶力が知識の獲得に必要で、記憶力が人間能力の最上位とされた。記憶力は知力の基礎とされた。
人間の美徳として最も肝要でありながら知力とまったく無関係と思われる徳目が、倫理感である。清冽な倫理感が価値を有する事は誰も異存ないだろうが、測る尺度がない。

・凌ぎたい
人間はいつも自分と他人とを比較している。
凌ぎたい、出し抜きたい、それがすべての人間をかりたてる共通の行動原理である。

・競争
すべての競争は自衛である。人は生きてゆくために戦わねばならない。競争あってこそ人の世が活気を呈して文明が生まれたのだ。

・鋭気を殺ぐ
競争の気持ちが高まるといずれ攻撃に出る。だが、露骨な攻撃は得策ではない。かえって損を招きやすい。疲れる、世間から嫌われる、。孫子曰く、戦わずして勝つ。

・舐められる
どんなに親密な間柄であっても心の奥底にはかすかながら敵対心が潜んでいる。
相手が攻めてくるのは、自分が平素から舐められている故である。
よって、誰にも舐められないように毅然として身を処する平素の心構えを持つことが、人間たるものの義務であり、責任である。

・褒める
人は誰でも自分を褒めてもらいたい。だが、人を褒めるのは苦手。よって、この状況をうまく納めるためには、誰もが褒め上手になろうとして修練するしかない。
ある人に発育の可能性があるか否かを試すには、その人が何をどう褒めるかに耳を傾ければよい。

・評判
人の値打ちの最終的な決め手は評判。取り柄を汲みとる目を通じて価値の見当がつけられる。実績あっての評判だが、評判あっての脚光を浴びた実績になる。
したがって、人間界の勝利者は、実は高い評判を得ることに成功した者である。
評判は神の悪戯であるが、人の世は評判の市であり、悪戯でも認められる。人は評判を好む。

・名誉
人間の欲を世間に役立つよう誘導するための仕組み。人間性を理屈で罵ったり否定したりせず、人間性が美徳に転化するように計る智徳が肝要。

・羨望
人間が自分と他人を比較する性向をもつ限り、比較は必ず羨望の情を生んで身を苛む。
人間にとって一番難しいのは、ある事をすっぱり諦めてなお気持ちを平静に保つ意力である。
一方、羨望は人を努力へと駆り立てる。人間の本性は自己愛。自己愛と自己愛が結びつくための仲介役として、羨望が機能する。羨望こそ、人間が人間に関心を抱くために設けられている唯一の水路かもしれない。

・嫉妬
嫉妬は膨張して、広い範囲へと及んで行く。
人間の思考も行動もすべて情念に発し、情念に導かれる。誰にも共通した最も普遍的な最も強い情念は嫉妬。人間性の究極の本質は嫉妬。世に顕われるほどの者は、嫉妬の矢が全身に突き刺さることを覚悟しなければならない。

・運
いつの時代にも人材はころがっているはずなのに、真価を発揮できる機会が訪れてくれぬ場合が多い。世の流れは人間を公平に扱うものではないと観念するしかない。それで、高望みせぬよう自戒し、己と時代との接点がどこにあるかを沈思するしかない。

・引き降ろし
嫉妬により、人を破滅させる計略を図る者もいる。
嫉妬を避けるには、謙虚に徹する演技しか道はない。

・甲斐性
自分は自分、他人は他人、誰もがあっさりそう割り切ったら、無闇に他人を批判する喧騒はなくなるだろう。
性に放縦な他人を情熱的に責めるすきがあったら、自分も進んで好き勝手に振る舞えばよい。甲斐性がないのを自覚するがゆえに、他人が羨ましくてしかたないのだ。他社の性的放縦を弾劾するときだけは嫉妬が野放しになる。男女共に、それほど性的放埓への憧れが根強く、それを成し得なかった自己束縛についての邪念が心の底にわだかまっている。

・意地悪
官僚は上に弱く下に強い。優越感と選良意識に凝り固まっているから、民衆を教導しないとと目を光らせている。

・侮蔑
自尊心に発する批判衝動の攻撃本能が、自分が国籍を有する祖国の先祖であり同朋である国民全員に対する、血の通っているとは思えない冷酷な侮蔑となる。

・真理
明治以来のイデオロギーとして、人間は欲が深く自尊心が高く選良意識を持ちたがる。
人間は生を終えるまで常に心を新たにして、世の姿と人の心を、よく見て、よく調べて、よく考える、という地道な努力を続けるしかない。特別な方法論や格別の分析術や崇高な悟達や神聖な会得は、自尊心の満足に達するための自己欺瞞であり自己陶酔であり脅し文句である。

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