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いりごま

 シロツメグサに見えない事も無いけれど、作りたかったのはヒメツルソバの花である。

いりごま de ヒメツルソバ

 ピンクの小さい球体に、ピンクのレジン液を付けたいりごまを並べる。
〈煎りごま〉というだけあって先端や側面に焦げがある。今まで何袋も食べているだろうに気が付かなかった。

 プランターでヒメツルソバを育てればいいのだけれど、多年草といえども枯れる...。怖くて育てる勇気が出ない。

 やっぱりあの頃好きだったものに囲まれたい。
私の生活も世界も変わってしまったけれど、私は変わっていない。それが矛盾なのか真実なのかが判らない。だから今日は真剣にゴマを並べていた。1粒1粒丁寧に向きを揃えながら無駄な時間を費やす。
 そんな無駄な時間がいつか私を強くしてくれるといいと思う。



アオリイカの新子

いつも水面があればそこを二人で覗き込んでいた。家の前の海、犬の散歩コースの海。よく飽きもせずに10数年も覗き込んで過ごしたもんだな!とも感じる。握りこぶし大のサザエが結構早く移動するのを見て「サザエ凄い!足速い!」と興奮する私をポカンとした顔で見ていた。

 海の近くで育った彼の常識は、海なし県の私には通用しない。私は足の早いサザエをいつも眺めていた...。それがサザエを被ったヤドカリと気がつくまで。でも一番かわいくていつまでも見ていられるのはアオリイカの赤ちゃんだった。あまり顔を近づけると一人前に墨を吐いて逃げる。でも、炭の量も少ないから煙幕には足りない。小さい体でジュエット噴射して逃げても数10cmが関の山なのでほぼ逃げられていない。

 レジンは面白い。専用のモールドがない形をどうやって作ろうか考えていく試行錯誤が面白い。さぁゴマを並べよう。あの日の風景を切り取れるように。

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