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「引き出しにしまった話」#創作大賞感想文

ごめんね。と言われるより
ごめんね。と言う方が私はチクリと心が痛む。
そしてごめんね。と言われたときよりも
ごめんね。と言ってしまったときのほうが、
いつまでも記憶に残っている。

好きって気持ちはどうやって育つのだろう。
今も謎のままだけれど、人は人を好きになる。
ある日突然友達だと思っていた人から、
友達以上の好きを伝えられたことがあった。
私のどこを、なにを好きになったんだろう。
その好きは友達では駄目だったのだろうか。
ごめんね。と伝えると、いままでの関係は消えて終わる。
あんなに楽しく過ごしてきた関係が壊れていくのが悲しい。

私の恋愛対象は曖昧で、
好きなら異性でも同性でもかまわなかった。
同性とも付き合ったことがあるけれど、
やっぱりその人が好きかどうかが
一番大切だと思っている。
今の時代はずいぶんと風通しがよくなったようだけど、
でも「一般的」とされる恋とは違う「好き」は、心の負担が大きいのかもしれない。

細村誠さんの絵に出会ったとき、
なんて繊細な美しい絵を描くのだろう!と感動し、
今も同じ気持ちを抱いている。
私も絵を描くことが好きで、漫画家になりたかった。
だから真っ白な紙に、いろんな世界を書き出すことができる人に憧れと尊敬の気持ちを持っている。

少し寂しげな儚さを絵から感じるのは、
もしかしたら細村さんが奥深い部分に
そのようなものを持っているからかもしれない。

世の中にはいろんな作風があるが、
細村さんの書く絵や作品は
永遠に色褪せないと思っている。

『引き出しにしまった話』
何度も読み返し、この胸に残る感情をどう表現していいのかわからないまま
数日が経ってしまった。
細村さんの描く物語は、波紋のように心に広がっていき、
余韻を与えてくれる。


引き出しにしまわれたものは、
切なくて、だけれど、愛おしい。
成就されなかった想いは
後悔と未練のあいだに漂ったまま
でもその想いだけが唯一
彼らを繋ぐものだった。

人を想うのはリスキーで、
傷つけ傷つく恐れがある。
だから、その想いを人はしまいこもうとするが、
気づいたときにはもう手遅れなのだ。

引き出しにしまった話。
これからもその話は、明るみに出ることも、
語られることもないのだろう。
けれどもそれは、
ずっと思い出の中で色褪せないまま
輝き続けていくのだろう。

多くの方に読んでいただきたい物語です。





最後まで読んでいただき
ありがとうございます。

心から感謝の気持ちを込めて。

横山小寿々

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