TENETメソッド—映画『TENET テネット』の技術の民生転用(ネタバレあり)—根源を巡る旅002(2022/01/19更新)

2020/09/21開始
2022/01/19更新

アメリカが軍事用に開発したアーパネットを民生転用したのがインターネットである。映画『TENET テネット』の劇中で使われている技術やエンジニアリングを民生転用したい、つまり、日常生活や仕事にいち早く応用したいと考え、自分なりに検討してみた。

映画『TENET テネット』で使われる科学理論

映画『TENET テネット』を、STEM、つまり、科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学というフレームワーク(*)で考えた場合、S(サイエンス、科学)は熱力学の第二法則だ。高校の物理で学ぶ内容。

*The Economist誌において、世界の各地域のセクションに並んで、"Science & technology"というセクションが設けられている。

熱力学の第二法則は3つの表現で記述される。

熱力学の第二法則1(クラウジウスの原理)
→外に何も変化を与えずに,熱を低温から高温へ移すことは不可能。

熱力学の第二法則2(トムソンの原理)
→外から熱を吸収し,これを全て力学的な仕事に変えることは不可能。

熱力学の第二法則3(エントロピー増大の法則)
→不可逆断熱変化では,エントロピーは必ず増大する。

映画『TENET テネット』の装置、つまり、回転ドアで得られる効果

2020年現在、映画『TENET テネット』における装置を作れるほどの科学、テクノロジー、エンジニアリングの知識は人類にはないのだろう。ただ、2020年の今において、その装置を民生転用、つまり、日常生活や仕事にいち早く応用できないだろうか。

クリストファー・ノーラン監督の作品群は、今を生きる私たちにすぐに使える武器を与えてくれる。まずは作品内に登場する装置を使って得られる効果から見ていきたい。

映画『TENET テネット』における装置、つまり、回転ドアを使って実現できることは何だろうか。

1 時間を逆行できる。
2 結果的に、近未来を知ることができる。
3 近未来に実際に起こることを知った上で、現実に影響を与えられる。例えば、手に入れるべきモノを敵に渡さない、敵の手に渡ったモノを奪い返すなどだ。

逆に、遠い未来に現実に起こることを把握するのは難しい。つまり、映画『TENET テネット』の設定では、例えば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(Back to the Future)のように、自身が年齢を重ねないままに、未来のある時点に飛ぶことはできないからだ。

同様の効果を得ることはできないだろうか。

TENETメソッド

映画『TENET テネット』の装置を使って得られる効果を、現実世界で得るための方法は以下の通りだ。

▼ステップ1 TOBEの言語化
近未来で実現したいことや理想的な状態(TOBE)を言語化する。具体的なイベント・出来事があれば、その日時を記載しておく。

▼ステップ2 TOBEに至るまでに起こることの予測と記録(&信頼できる人への記録の共有)
ステップ1で言語化した近未来に実現したい出来事に至るまでを想像する。ポジティブに妄想するのではなく、客観的に予測する。客観的に予測するのが難しければ、ネガティブな出来事を3つ想像する。

主人公がキャットに伝えたように「記録」が大事だ。記録がなければ、それを防ぐ手立てはない。ステップ1でも、ステップ2でも、好きな方法で記録しておこう。

映画『TENET テネット』の教訓を活かすとしたら、その記録が信頼できる人に伝わっていることが大事だ。信頼できる人に伝われば、あなたは未来で助けを得られる可能性が高まる。

▼ステップ3 戦略の立案、および、アクションの洗い出し
ネガティブな出来事を起こさないようにするため、ネガティブな出来事が起こっても影響を小さくするためのアクションの立案。

TENETのように、TOBEを実現した時点から、時間を遡り、どんなことが起こればいいのか、どんな行動をすればいいのかを書き出していく。グーグルキープなどのメモに記載していこう。

▼ステップ4 アクションに必要なモノ、仲間などの調達
劇中ではほとんど描かれないが、ニールは痕跡を残さずにモノを調達し、仲間を集めている。相当な苦労があったのだと思う。番外編・スピンオフ作品が出たら、この点に特に着目したい。

▼ステップ5 実行
映画『TENET テネット』風に留意点を言うなら、①無知は武器、②嘘は常套手段、③勤務中はダイエット・コークを飲め、だろう。

以上の通り、回転ドアの登場を待つまでもなく、映画『TENET テネット』と同様のことが、現在でも可能だ。

TENETという方法、TENETというスタンドby『ジョジョの奇妙な冒険』、TENETというカードを日常生活でも活用したい。

熱力学の第二法則を学ぶためのオススメの本

*加筆中

以上


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