新刊書と古典(2019/12/14更新、2019/10/26開始)

読むべき新刊書と読まなくてもいい新刊書があるはずだ。それは万人にとっての絶対的な基準ではなく、それぞれ各人の基準によって異なる。

書店に並んでいる本のほとんどが新刊書だろう。新刊書を手に取り、まず目を移すのは、奥付だ。発行年月日を見て、10年経っていなければ、極力買わないようにしている。その代わり、同じテーマを扱った古典(少なくとも10年は経過した本)を探すようにしている。テーマを「キーワード」で思い浮かべる時もあるし、頭と心に余裕やバッファーがあれば、「問い」にまで引き直す。

また、索引があるかどうかも大事な指標だ。索引の量や質ではなく、索引の有無が大事な分岐点である。加えて、巻末に「参考文献」一覧があったら、最高だ。巻末に参考文献一覧がなくとも、章の最後や脚注として記載されている場合がある。一覧性の観点から、巻末に「参考文献」一覧があるのが私の好みだ。

書店をふらふらすることの効用は何だろうか? まず、無数にある書籍のうち、手に取る本と手に取らない本があり、そこで明確な差が生まれている。もちろん、自分の意思によって手に取った本もあるだろうし、タイトルや装丁やヒトをハックすることに長けたPOPに影響されて手に取った本もあるだろう。そのメカニズムや要因は分からないが、手に取るかどうかは明確な差、絶対的な差があると捉えよう。まさに一期一会だ。その時点で、自身の興味・関心を言語化することが大切だ。テーマそのものかもしれないし、テーマ以外のこと(本の色とか香りなのかもしれない)かもしれない。それを感じ取って、少なくとも「単語」レベルには落としたい。さらにできれば、何かしらの問いに落としたい。つまり、書店をふらふらする効用は、自分自身の興味関心を知ることにある。そして、書店という場を使って、キーワードや問いを可視化する。それが重要な効用だ。

新刊書籍を読みたくなったら、同じテーマの古典にも目を向けよう。少なくとも出版から10年は経った書籍も手に取ろう。興味を持った新刊書をきっかけ、キックにして古典にも手を伸ばそう。

出版から10年は経っている本を買いたい。数十年、数百年、数千年経っている本なら、それは買いだ。 これを、ネット書店でも、古本屋でもなく、リアル書店で行うことが大事。

リアル書店の価値は、実はスクリーニング機能である。リアル書店の一つの機能は、古典の中でも価値ある古典のスクリーニング。市場を横目に見ながら、書店員が発注をしている。お客様の購買行動を見て、人が選んでいる。人には揺らぎがある。アマゾンではその揺らぎは出せないだろう。リアル中古本販売店やアマゾン中古本販売サービスなどにはない機能だ。

また、書評は、新刊のスクリーニング機能を担っているが、古典のスクリーニング機能を担うのは難しいという当たり前がある。個人的な要望を言えば、古典も書評で取り上げて欲しい。古典の書評を対象にしたマガジンをnoteで作ってもいいのだろう。

買った本、買っていない本を含め、新刊書と関連しそうな古典をリスト化していきたいと思う。取り上げていきたい新刊書を記載しつつ、徐々にこの記事を成長させていきたい。

法律書については、法令が改正されるので、新刊書は買わなくてはいけない。ただ、それは新刊書だけを買っていればいいということと同じ意味ではない。法律書においても、古典を探して読むと発見があるかもしれないと考えている。

いつか新品書籍として出回っていて、出版してから10年は経っている書籍だけを集めた書店を開きたい。リアルでなくてもいい。ネットの店舗でいい。

既に読んでしまったもの

引用文献、参考文献なども使って、具体的な古典の作品名を抽出していきたい。また、極力発行年を記載するようにし、どの程度、時の洗礼を受けているのかを可視化しておきたい。

▼『ホモ・デウス』

・「第7章 人間至上主義革命」より:
【未読】『猿と女とサイボーグ ―自然の再発明―新装版』 (日本語) 単行本 – 2017/5/25
ダナ・ハラウェイ (著), 高橋さきの (翻訳)
→原著は、1991年に書かれているようだ。

・「第8章 研究室の時限爆弾」より:
【未読】『妻を帽子とまちがえた男』 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) (日本語) 文庫 – 2009/7/5
オリヴァー サックス (著), Oliver Sacks (著), 高見 幸郎 (翻訳), 金沢 泰子 (翻訳)
5つ星のうち4.2/25個の評価
→原著は、1985年に書かれている。

・「第9章 知能と意識の大いなる分離」等より:
【未読】『アルゴリズムが世界を支配する』 (角川EPUB選書) Kindle版
クリストファー・スタイナー (著), 永峯 涼 (翻訳)
5つ星のうち4.2/61個の評価

・「第11章 データ教」より:
【未読】『世界史 I ── 人類の結びつきと相互作用の歴史』 (日本語) 単行本 – 2015/10/2
ウィリアム・H. マクニール (著), ジョン・R. マクニール (著), 福岡 洋一 (翻訳)
5つ星のうち3.8/3個の評価
→原著は、2003年に書かれている。

▼『サピエンス全史』 テーマ:大局的な観点で見た人類の歴史

▼『SHIFT:イノベーションの作法』 テーマ:「新規事業開発の」発想法

▼『ストーリーとしての競争戦略』 テーマ:事業戦略

▼『直感と論理をつなぐ法』 テーマ:アイデア発想法

▼『Zero to One』 テーマ:哲学、スタートアップ、独占、事業、起業

読みたい衝動はあったが、まだ読んでいないもの

▼『三体』 テーマ:SF
※抽象的なので、もう一歩具体的に自身の興味関心を捉えたい。

▼『インテルの製品開発を支えるSFプロトタイピング(プロフェッショナル&イノベーション) 』単行本 – 2013/6/7
ブライアン・デイビッド・ジョンソン (著), & 2 その他
5つ星のうち3.3/5個の評価

テーマ:未来予測、未来予測の方法論

関連 野口悠紀雄さんのクラッシックの押し売り

以下の記事に感銘を受けて、同じようなコンセプトで私も取り組んでみたいと思った。効果的な古典を発掘したい。

クラシックの押し売りに参上しました(その2):古典を読むほうが「効率がよい」
https://note.mu/yukionoguchi/n/ne902a1a92307

「組織がどのように動いているのか」のメカニズムを知りたいのであれば、経営学の本を読むよりは、トルストイの『戦争と平和』を読むほうが、ずっと効率的でしょう。」
「人を説得する術策を知りたいのであれば、シェイクスピアの『マクベス』で、魔女たちがどのように巧みにマクベスを操っているかを見れば、説得術という売れ込みで書かれている本を100冊読むよりもはるかに効率的でしょう。新訳聖書も、説得術に関しては、最高の教科書です。」

その他

本をかかえた獣、という表現が私は好きだ。

「シオラン @Cioran_Jp
私の覚える快楽は二つだけ。興味ももう二つしかない。つまり、読むことと食うこと。本を読む動物、本をかかえた獣。(『カイエ』)」

以上


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