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【情シス向け】生成AIのリスクをどう管理するのか!生成AIのリスクをおさらい!

情報システム部門における生成AIの導入は、業務の効率化や意思決定の高速化など、多くのメリットをもたらします。しかし、これらの利点を享受する一方で、データのセキュリティ、プライバシーの保護、誤情報の拡散など、さまざまなリスクも伴います。本稿では、情報システム部門における生成AIの利用を考える際に直面する可能性のあるリスクと、それらを管理する方法について触れたいと思います。特に、AI技術が急速に進化する現代において、これらのリスクをいかにして最小限に抑え、安全かつ効果的にAIを活用するかが重要な課題となっています。


情報システム部門における生成AIの導入

生成AI導入のメリット

会社に生成AIを導入することで業務効率が大幅に向上します。例えば、半自動による文章作成により、工数の大幅削減と品質向上が期待でき、顧客満足度の向上などに繋がります。また、習慣的作業の自動化により、従業員はより創造的で価値の高い業務に集中できるようになります。

企業での利用事例

実際に、多くの企業が生成AIを活用しています。例えば2023年6月29日、NTTデータは生成AIの活用を推進する組織「Global Generative AI LAB」を立ち上げ、生成AIを活用したシステム開発手法を研究し、全技術者に展開を行うことを発表しました。
参考:株式会社NTTデータ「生成AIの活用をグローバルで推進する体制を整備」https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2023/062901/

他にも、生成AIと連携したカスタマーサポートのチャットボットサービスや、社内文書の自動生成ツール、データの予測分析ツールなど新サービスの開発としても利用されています。

導入時の課題と解決策

しかし、生成AIの導入にはいくつかの課題も伴います。たとえば、リスク管理や既存のシステムとの互換性、従業員のAI活用におけるトレーニングなどです。これらの課題に対処するためには、事前に会社ごとの課題と解決策の洗い出しと、段階的な導入計画、従業員への継続的な教育・トレーニングが必要です。また、生成AIサービスによっては技術的な問題に対応するために、専門的な知識を持つ人材の確保や、外部の専門家との協力も考慮すべきです。

生成AIのリスク管理

生成AIには前述したとおり、業務におけるメリットは多分にありますが、リスクもあります。主なリスクは「情報漏洩」、「権利侵害」、「過度な信頼」に分けられ、それぞれ事前と事後のリスク対応策を行う必要があります。それぞれ具体的に見ていきましょう。

生成AIの主なリスク

リスク①情報漏洩

生成AIの使用において最も懸念されるのは、企業の機密情報や個人情報などの情報漏洩です。AIは大量のデータに学習させ、そのデータを元に生成を行いますが、ユーザーがAIに指示や質問をしたときの文章が学習に使われる可能性があります。この時、ユーザーが指示や質問をした文章の中に重要な情報が含まれてしまった場合、AIはその情報を学習し、他のユーザーへの回答時にその情報が使用される危険があります。そのようなことにならないように、生成AIサービスごとに事前にオプトアウト申請(学習に使われないように申請)を行う必要があります。また、生成AIサービスの提供事業者がSLAを提供しているのかも調べる必要があります。

リスク②権利侵害

期待した生成物をAIに出させるために指示する文章を調整することをプロンプトエンジニアリングと言います。このプロンプトエンジニアリングが他人の著作物と同一・類似するAI生成物を生成する目的がある場合には、入力行為自体が著作権侵害になる可能性があります。また、入力行為自体だけでなく、他人の著作物と同一・類似する生成物を公開することも著作権の侵害と判断されかねます。入力前に一度確認することと、生成後ももう一度確認し、可能であればリライトなどの編集を行うと良いでしょう。

リスク③過度な信頼

生成AIは間違いなく便利です。ビジネスにおいても生活においても有効に活用できます。しかしAIは100%正しい情報を出力してくれるとは限りません。生成AIが嘘の情報をあたかも正しいかのように提供することを「ハルシネーション」と言います。このハルシネーションが発生するということを認識せずに完全にAI任せになると、ユーザーが間違った情報を頼りに判断することになり、何か大きい問題につながる可能性があります。そのためAIが本当に正しい情報を提供しているのかの確認や「責任は自分で取る」といった心構えが必要です。

リスクを最小化しよう

情報システム部門と経営層がリスクを把握する

まずは前述した主なリスクをはじめ、利用する生成AIサービス独自のリスクを情報システム部門と経営層が把握をしましょう。管理側がリスクを把握しておくことで、事前のリスク対応策や問題発生時の迅速な判断、指示をスムーズに行うことができます。利用ガイドラインや使用ポリシー、定期的な社内セミナーなどを行い継続的に生成AIのリスクへの認知を定着させることも有効です。

従業員の学習・トレーニング

AIのリスクを効果的に管理するためには、従業員の教育と意識の向上も欠かせません。従業員にAI技術の基本的な知識、ポリシーの理解、およびセキュリティ教育を提供することで、誤った使用やデータ漏洩のリスクを減らすことができます。定期的なトレーニングやワークショップを通じて、従業員のスキルを維持・向上させることが重要です。

管理体制

生成AIシステムの持続的な監視と評価を行うと良いでしょう。全利用者のAIとの会話履歴の保存やバックアップをし、問題が発生した場合には迅速に原因究明ができる状態を整えることが大切です。また、生成AIサービスを社内用にカスタマイズ、機能拡張させ利用する場合、技術の進歩や業界の動向に合わせて、システムのアップデートや改善を行うことも、リスク管理の重要な部分です。

生成AIに詳しい人を確保する

生成AIは技術的な側面もあり、導入時に理解が難しいことや問題発生時にどのような判断をしたらいいのか、社内に生成AIに詳しい人材が居ない場合は誤った判断をしてしまう場合があります。そのような問題を防ぐためにも、社内に担当者を設置する、もしくは生成AIに詳しい業者を常に確保しておくのも一つの手です。

本記事の執筆者である、こうすけ「本名:武居功祐」もご相談承りますので、お気軽にお声掛けください。

お問い合わせ先
株式会社Launch Base
担当 代表取締役 武居功祐
お問い合わせフォーム:https://forms.gle/JrWvSJ49kYZ8hecg9

まとめ

情報システム部門における生成AIの導入は、業務効率化、意思決定支援、顧客サービスの向上など、多くのメリットを提供します。しかし、これらの利点を享受するためには、セキュリティ対策や、誤情報とバイアスの防止、継続的な教育・トレーニング、管理体制など、さまざまなリスクの管理が不可欠です。

適切な対策を実施することで、企業は生成AIの利点を最大限に活用し、同時に潜在的なリスクを効果的に管理することができます。最終的に、企業は生成AIを安全かつ責任ある方法で活用し、競争力のあるビジネスを展開することが可能になります。


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